3日目
目覚めるとやっぱりフクロウはいなくて、僕は小川の清水で顔を洗った。
清水の流れのなかに金色の糸のようなものがずーっと流れている。
僕が手をひたし、糸をたぐろうとすると糸は僕の手の中に溶けてつまむこともできやしない。この金色はただの色なのか、それともそういう水なのか。
僕は金色の糸ごと水をすくい、口へと運んだ。水はお腹へ到着するとすぐに全身にひろがってパン!と体が張った。毛穴からきらきらした小さなしずくが霧のように噴出した。これなら風呂もいらない。
指を弾いて水を跳ねる。きらきらと音がする。愉快だな。
僕は小川を後にして世界を探検にでかけることにする。
どこまで行ってもなにもない。僕が歩いたところに世界ができるんだ。不思議な感じがしたけど、特にいままでと変わることはないんじゃないかな。知ってるか知らないかってだけで。
その日は他の生き物には出会わなかった。うずをまいてネジみたいに見えるバナナとか(食べにくそうだ)葉の裏側一枚一枚に「ハズレ」って書いてある木とか、変な植物を眺めているうちにあっさりと夜になった。そうそう。また日が暮れると山の向こうでガチャン!ってすごい音がした。もしかしたら毎日太陽が壊れているのかもしれない。在庫が気になる。
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