2.
零士くんが運転をしてくれて必然的に助手席には実花が座り、私と遼くんは後部座席に座った。初対面の人と並んで座るのは、少し緊張する。だけど、自然に遼くんが話しかけてくれて、すぐに緊張は解けた。話しやすい人だな、と思った。
実花は零士くんと一緒にいるのが嬉しいみたいで、その様子に私も嬉しかったし、車内での会話は尽きず、楽しいドライブとなった。目的地のキャンプ場までは、あっという間に感じられた。
駐車場に着くと、目の前にキャンプ場、背後には海が広がっているのが見えた。
「キッレー!」
キャンプ場は高台にあるから、海は下の方に見える。遠目に見える海は水色で澄んでいて、実花が言うように本当にキレイだった。
「荷物置いたら買い物行く?」
「そうだね。もう一台のみんな、ちょっと遅れてるっぽいから、先に買ってようか!」
夜はバーベキューをするらしく、コンロなどの大きい荷物を男の子たちが運んでくれて、私たちは自分の荷物をログハウスへと運んだ。
ログハウスは二階建てで大きく、一階に広いリビングと洋室が一室、二階にも洋室が四室あるらしい。
「これさ、部屋割りどうするの?」
「んー。零士、部屋割りの話した?」
「いや、まだ何もそこらへん決めてなかったな。」
「実花、零士くんと同じ部屋がいいんじゃないの。」
と小声で実花に訊くと、
「やだ、紗良のエッチー!」
と大声で返された。
「えーっ!」
気を遣って小声で言ったのに、ちょっと……。
「なに、紗良ちゃん、エッチなの?」
「いやいやいやいやいや。」
遼くんに笑われながらそう言われ、全力で手をぶんぶんと振り、否定した。
やだって、実花……。それ、私が言いたいよ。
そんなやり取りをしている合間に、玄関から賑やかな声が聞こえて来た。どうやらもう一台のみんなが到着したようだった。わらわらと男子が入って来て、その中に女の子が一人、見えた。
「実花ちゃんと紗良ちゃんだよね?麻衣子です、さっき挨拶するタイミングがなくって、今になっちゃった。」
実花が言っていた零士くんたちと同じ専門学校の女の子だ。小柄でふわふわした感じで可愛い。高音の声も可愛くて、ザ・女子と言った感じだ。
「はじめましてー!あ、でも私、麻衣子ちゃん、見たことあるかも。よく学校に遊びに行ってるから。」
「うん、私も実花ちゃんのことは見かけたことあるなって思ってたの。」
「はじめまして、実花と同じ学校の紗良です。」
「はじめまして、紗良ちゃんもよろしくね。」
ニコっと笑う笑顔もまた可愛い。
「あのね、来る時にね、部屋割りの話をしてたんだけど、女の子はみんな一緒でもいいかな?一つ大きい部屋があるでしょ?そこにベッドが四つあるらしいの。」
「あ、そうなんだね!いいよ、紗良、いいよね?」
「うん、いいよ。じゃあ、荷物を持って行こうか。」
二階に上がると手前の二つは少し小さめで、奥の二つは広い造りになっているようだった。女子は荷物が多いから、奥にしよう!と右側の奥の部屋を選び、私たちは荷物を置いた。部屋から海が見える。こんなにキレイなら泳がなくても見ているだけでもいいな。
普段から私は感情の起伏がフラットな方だ。
いつも元気がいい紗良とは正反対で、だからこそ合うのか、私たちが仲良くなるのにはそう時間がかからなかった。
多分、海見てるだけでいいや、って紗良に言ったら、何言ってんの!泳ぐよ!って言われるのかもしれないな。
結局、予想していたとおり紗良に泳ごうと言われ、男の子たちも気付いたら水着に着替えていて、みんなで海に行くことになった。みんな楽しそうに笑っていて、賑やかな砂浜の光景が眩しかった。
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