ゴースト オブ フレンズ

~火山~


「よし、まあこんなもんだよね。

ここまでは全部計画通り……いや、これからもかな?」



「どういうことよ、凜。それとアンタの今の姿は何か関係ある訳?」


「そうだよ、凜ちゃん……真っ黒だよ」



サーバルの言う通り、そこに居た少女――いや、少女の姿をした者はおよそヒトという生き物とは思えない程に黒かった。



「この辺のセルリウムを全部吸収したからね。

そんなことよりも※今はシリアスなシーンなので閑話休題とは書きません!なんで私が凜だと思ったの?

原形を留めてるならまだしも誰がどう見たって全く別物なのに」


「セルリウムって、まさかアンタ……セルリアンに!?」


「えっ?凜ちゃん、セルリアンになっちゃったの!?」


「そういう訳じゃないよ。

これはね、私が作った身体なんだ。

希望も絶望も、願いも呪いも、サンドスターもセルリウムも、全部受け入れるには生身では弱すぎるからね」



生き物としてのことわりから外れた造られた存在。唯野 凜 としての最後の作品にして最高傑作できそこないだとも続けるが、カラカルですら分かったような分からないような曖昧な状態であり、サーバルに至っては理解などとっくに放棄し、分かったフリをしていた。



「それで、セルリアンが大量発生してるのはどうにかなったのよね?

だったら帰るわよ」


「そうはいかないよ。この身体を完成させるのが遅すぎた――遅くなったのに完成させてしまったって言った方が良いのかな?

皆が抱く希望より絶望が深くなっちゃったから、見た目も中身も、もうとっくに 唯野 凜 ではないから」


「だから何よ!アンタが凜じゃないなら何だっていうのよ!」










「……そうだね。今の私は――黒野くろの りん ってところかな」


「「そこで名字が変わるのはおかしくない!?」」


名字が変わるのはおかしいっていうのは下の名前が変わるべきって意味だよな?(なろう系主人公風)


「あっ、そっか。せっかくだから凜じゃなくて凛に改名するのも良いよね。

そっちの方がかわいいし」


「……もうなんでもいいわよ」


完全に呆れた様子のカラカル。緊張感も何もあったものではないので無理もない。

それはそうとして※条件反射で閑話休題と変換してはいけない、今がシリアスなシーンだということを覚えているだろうか?


そんなこと忘れていたという読者は巨大セルリアンに記憶を奪われている可能性があるので頑張って取り戻してください。



「あ、今なんでもいいって言ったね?

じゃあ、お言葉に甘えてセルリアンの残党は私が処理しとくね!」


「また良く分からないことを言い出したわね。それでアンタに何の得があるのよ……」


「そうだよ!せっかくここまで来たんだから私達も手伝うよ!」


「ダメ!私が全部倒してそうじチケットを貰うんだからねっ!!

フォトポケはいくらあっても足りないんだから」


「本当に何言ってるの!?1人でセルリアンを倒したからって何か貰えるとかそんなのないわよ!」


「カラカルこそ何言ってるの?現にこうやってフォトポケを増やそうと――」



凛の手に大量に握られていたのは紫色に輝く結晶――ではなく、じゃぱまんを写したフォトであった。


「――してたんだけど今回はハズレだね。こんなの、輝石じゃない……」



誰が何のために撮ったのか良く分からないフォトをポーチにしまい、脱線した話を再開する。


「なんだかんだ言って今の私は強いから1人でも問題ないよ。それにね、私は皆が幸せに暮らしてくれるのが一番嬉しいんだ」


「凛ちゃん……1人でも問題ないなんてそんなの嘘だよ!いくら強いからって1人じゃ4コーラスだってできないよ!」


「サーバル!?アンタまでそっち側に!?」



ボケは感染する。コレ、常識。

一応はシリアスなシーンだったはずという説もあるが、誉れシリアスは火山で死にました。



「そうですよ、凛。1人で無理をしても何も良いことはありません」


無駄に良いタイミングで現れたオイナリサマ。

それもそのはず最初から少し離れたところで見ていたのである。



「これで4人……4コーラスができるようにはなったね。

でもやっぱり助けはいらないよ。今の私ならセルリアンも危なげなく倒せるし。

ほら見て、これが今の私のステータスだよ」


けものプラズムを操作して空中に文字を浮かべる凛。何気に高等技術である。


――――――――

黒野 凛 (アクティブ)

・けものミラクル[これが私の『RTA』だよ!]

MP60 Lv.5 自身の属性をフレンドリー(緑)に変更する(2ターン)

相手全体に60%のダメージを与える

・とくいわざ[これでもか弱い美少女なんだけど……ねっ!]

相手単体に105%のダメージを与える

対象が強敵の場合、自身の属性をファニー(赤)に変更し、対象の与ダメージを高確率で15%減少させる(2ターン)

・たいきスキル[意外な一面]

披ダメージが25%減少し自身の属性をリラックス(青)に変更する(2ターン)

発動率:100% 発動回数:∞回

・とくせい[オーダーフラッグルールアウト]

オーダーフラッグの種類に関わらずMPを20増加させ、プラズムを30%チャージし、とくいわざで攻撃する

・キセキとくせい[自由に生きるスタイル]

与ダメージが15%増加し、状態異常にならず属性相性の影響を受けない

――――――――



「強そうだけどややこしいわよ!

というかアンタそんなテクニカルなタイプじゃないでしょ!?」


「いやいや、私って結構技巧派だよ?

こんな茶番劇をしながらでも誰にも気付かれないで結界を張れるぐらいにはね」


「言われてみれば……確かに島全体を覆うほど大きな結界が張られているようですね。

しかし、それにしては結界自体からは何の力も感じられませんが……」


「最後の仕上げがまだだからね。

それが終われば島の外からは誰も来れなくなるよ。

ま、私は過保護じゃないから中の問題も外の問題も全部を解決なんてつまらないことはしないよ」


「あはは……いつも通り気が向いたらってことだね」


「で?最後の仕上げっていうのは何よ?」


「簡単な話だよ。オイナリサマならもう気付いてるかもね。

そうすれば長持ちするでしょ」


「そこまでする必要はないと思いますが……」


「いいのいいの、ここまできて手を抜くのも変な話でしょ――っと!」



勢い良く火口に飛び込む凛。

まさにそこが結界の中心点である。



「ちょっと!?何してるのよ!」


「いえ、凛なら大丈夫でしょう」



凛の急な行動に驚くカラカルと落ち着いた様子のオイナリサマ。

大丈夫だと言いながらオイナリサマの見つめる先には親指を立てて溶岩に沈んでいく凛の姿があった。

余談ではあるが錬金術師(自称)としての技術をつぎ込んだ今の身体ボディにはサンドスターやらセルリウムだのオリハルコンとかダークマターなど他にも様々な希少素材が用いられており、溶岩どころか太陽に飛び込んだとしても焦げ目ひとつ付かないほどである。



「何よ……何よ、何よー!!!心配して損したじゃなーい!!!」



こうして結界を維持するために凛が眠りについたが、いつでも起こせるので残された3人は解散することとなった。

遥か未来、この火山で目覚めた少女“リン”が面白おかしく生きていくのだがそれはまた、別の話――













その“別の話”が気になったそこのキミ!

今ならカクヨムで全話無料で読めちゃうぞ!

『みんな自由に生きている』を今すぐチェックだ!(宣伝)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モフモフ!ハロー!JapariTube! アルミニウム @WhiteSymbol

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ