Part.3 他意はないけど外でお絵描きしてみた
私、 唯野 凜。12歳!
身長151cmで体重は43kg。
スリーサイズは上から85・56・86。
パンチ力は推定8トン……ってこれ仮面フレンズの設定資料だよね!?
よりにもよって私のプロフィールと混ぜないでよ!!
私のパンチ力なんか弱すぎて測定不能だからね?
*
「えーと、前回の動画を公開してから色々届くようになったから今回は最初にお便りを読み上げていくよー。
確かにジャパリパーク宛てに送れば私のところにも届くけど、あんまり高価な物は送っちゃダメだよ?」
段ボール箱の中から無作為に手紙を取り出し、開封する。
「はい、ということで記念すべき最初のお便りは
『おはようございます。凜ちゃんが出演してると聞いてケムリクサ1話を視聴しました。1話だけでは良く分からないところも多いですが引き込まれるような内容でした。これからの凜ちゃんの活躍、応援してます!』
……うん。残念だけど、その凜ちゃんは私とは無関係だよ」
読み上げた手紙を丁寧にしまった後、いつものように続ける。
「これからもこんな感じで紹介していくからねー。
お手紙、どしどし送ってね!」
カメラに向かって言い終わると近くに置いてあったスケッチブックを手に取った。
「さーて、ここからが今回の本題!
お絵描きの時間だよ」
今回は外で活動しやすいような服装をしている彼女。
生地が丈夫なことや形状だけでいえばパークガイドに支給される服装に似ている。
間違われないようにするために白や灰色ではなく、青と緑をベースとしたものを選んだようだ。
他に目立った違いといえば、帽子の羽飾りが片方しかついていないことが挙げられる。
全体的に時代を先取りしたコーディネートである。
「白い用紙に描いたらー PDFで出力だー♪
揺らめけ綺麗なケモ尻尾ー フレンズ達をモフりたい♪」
某ヨドバシカメラのCMソングのような歌を歌いながら外を歩いて行く。
こうすることでカメラ型のセルリアンが出て来ても新鮮さに欠ける展開を作り出せる。
熊避けに鈴を鳴らすのと同じ理屈である(ガバガバ理論)。
事実、忖度の勝利なのか空気の読めないセルリアンは現れなかった。一般客も入れるエリアなので当然ではあるが。
「うーん、フレンズには会えたけど、この光景を絵にするのは難しそうだよね」
目の前には何故かガイドさんに耳をしゃぶられているサーバル、お客さんの案内役をしているカルガモなど、肖像権的にややこしくなるので避けたい状態であった。
と、なると――
「居るんでしょ? カラカルちゃん。
隠れてないで出て来なよ」
「あら、気付かれてたのね。
やっぱりアンタ、ただ者じゃないわね」
「隙を見せたらイタズラしに来るのは知ってるからね。
だから気配を探るのは半径4メートルの範囲で十分……!(というかこれが限界)」
カメラの向きを変え、自身を武術の達人感のある映し方にしつつカラカルも映す。
今回の
「で、スケッチブックなんて持って何してるの?
また変な動画の企画でしょうけど……」
「そうだよ。
フレンズの絵を描く企画中だから可愛くてスタイルも良いカラカルにモデルを頼みたかったんだよねー」
「案外普通なことやってたのね。
いいわ、モデルになって あ・げ・る🖤」
小悪魔な言い方でセクシーさをアピールするカラカル。 ちょろい。
「いいね!インスピレーションが沸いてきたよ!」
あっという間に一枚の絵を完成させる。
仮にあっという間でなかったとしても尺の都合上カットするので大した違いはない。
「次はコレを咥えてくれないかな?」
そう言われて渡された人参をまるごと咥えるカラカル。
それを見たまま描かれた絵は色んな意味でグレーである。
「ちょっとやり過ぎたからマイルドにした方が良いかなぁ……」
人参に顔と手足、羽を付け足す。
人参が良く分からないキャラクターに変貌したことによりいかがわしさは幾分か軽減された。
そんなイラストを見たカラカルは「ちょっと、何よコレ!」と不満そうだったが、一枚目の絵が真面目な出来だった為、事なきを得た。
「ここでみんなにお知らせだよ!
なんと、この二枚目のイラストを抽選で
応募方法はフォロー&リツイート。
奮って応募してねっ♪」
「いや、100万枚もいらないでしょ……。
それに1億枚なんて印刷するにしても無理に決まってるじゃない」
もっともなツッコミによって今回の動画は締め括られた。
余談だがプレゼント企画にも(冗談だと思われるが)若干名の応募があったため、即座に特定しキッチリ100万枚送りつけたことが話題となった。
人気YouTuberに、ちょっと前進――。
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