幕間
────定期報告書。
提題、春見彗那について。
7月15日、春見彗那を新たに『HALF』のメンバーとして入隊。現在は指揮官・咲良の立ち会いの元彼女を保護している。今後、彼女は魔法少女として戦闘に参加させる予定であるので、その前準備に倣い彼女の『人間性』を計測した。
結果については『連盟』の方々と詳しく審議したいのだが、その前に彼女について少し説明させていただきたい。
春見彗那は現在、記憶喪失である。記憶を失った推定時間は7月15日午後8時以前。それまでは意識を失っていた模様。健忘の状態は意識を取り戻す前の全て、いわゆる全生活史健忘症にあたる。頭部に目立った外傷はなく、脳神経にも異常は見当たらなかった。このため、記憶喪失の原因は心因性によるものと考えられる。
彼女の特筆すべき点はその人間離れした能力であり、同席していた四十澤優羽の証言によると心臓を貫かれたのにも関わらず、一瞬で傷口が塞がった模様。更には一時的にだが瞳の色素が変化し、優羽を吹き飛ばすほどの力を放った情報もある。しかし、検査したところ彼女が持つ魔力は非常に微々たるものであり、人間一人吹き飛ばすのは本来不可能なはずである。
このような不可解な点から早急に『人間性』を調べる必要があると判断し、『HALF』加入時に冒頭で述べたとおり、彼女の『人間性』を検査した。
しかし、個人では判断しかねるほどの異常な値が観測された。故に『連盟』の審議を問いたいため、最後に結果を述べてこの報告書を提出させていただく。
春見彗那の『人間性』は『0』であった。
つまり、彼女は正真正銘人間ではない。魔獣そのものである。
────報告者・彼岸咲良
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