第四章:パーシュミリア解放戦

《第二部主人公機紹介》

SIMX-7


 ニルドリッヒ共和国の陸軍装甲開発局第三課が初めて設計、製造した初の実用国産試作機。対SIM用SIMがコンセプトとして設計されている。

 共和国陸軍は帝国との国境紛争にシミュラクラを投入する方針を決定し、《レギオンAuf.B》を訓練機材として採用し、これらの小改修を行って備えていた。

 独立時に国内に存在していた帝国兵站部第九課を再編して設立された共和国陸軍装甲開発局第三課は、《レギオンAuf.B》の小改修をそれぞれSIM-1からSIM-6までナンバリングし、共和国は国営機械工廠を設立し新規生産も並行して行った。しかしながら帝国軍が《レギオンAuf.D》やその増加装甲型の《レギオンAuf.E》を大量生産し始め、さらには設計が最適化された《レギオンAuf.F》の開発が判明するとこれらSIMシリーズは性能的に劣勢であることは明らかだった。

 そこで共和国陸軍は国産シミュラクラの開発計画をスタートさせた。開発当初は一般的な共通フレームを採用していたが、試作段階でそれを変更し、試作機では材質強化型の共通フレーム、増加試作機からはレアメタルを用いた専用フレームが用いられた。増加試作機ではこの頃から軌道採掘ステーションで採掘が可能になったレアメタルをフレームの構造材に使用しており、その強度と柔軟性は抜群。

 反面、フレームの開発で予算が割かれFCS開発は少ない予算でやり繰りする他なく、設計要求になかったため40ミリを超える大口径武装の装備を見送った。この大口径武装の装備を考慮していない設計のためその使用自体が不可能、あるいは推奨されず、レアメタルで構築されたフレームはコストがかかり、国境紛争投入用に突貫作業で製造された増加試作機あわせて二六機が軍に納品されたのみで正式採用はされなかった。マリアネス連合向けに受注生産方式でさらに十四機が生産され、それぞれの国に輸出されたが、それ以降は追加受注もなく生産は終了した。

 後のSIM-9に採用されたドライバーアシストAIの搭載もこのSIMX-7からであり、とくにCOIN仕様に改造された増加試作機のうちの十五機はAI搭載用に機能拡張が行われていた。


設計:共和国陸軍装甲開発局第三課

電源:MSB-5Aメタロヴィェツ・パワーパック

全高:七メートル





―SIMX-7RISE《S175-SK51Mod》


 共和国が開発した試作白兵戦用シミュラクラであるSIMX-7を全面改修したもの。

 サンベルナール共和国に輸出されたSIMX-7をSIM-9に準じた電装系、システムなどを盛り込み、現代技術に適応された。

 この機体はいわゆるニルドリッヒとシュリーフェン間の不正規戦モデルで、補助AIの性能がより発揮でき、単機で偵察を行い敵陣から離脱する能力が付与されている。


 機体性能はハイスペックな一方で、ペイロードと操縦性が犠牲となっており、40ミリ以上の火砲の搭載は困難であると同時に、補助AIなしではピーキーで危険ですらある。

 S-175とソニアK51の機体は鹵獲品である超硬対装甲剣≪パンツァーシュナイダー≫と、一般的な20ミリ機関砲に最適化されており、専用機的なカスタムよりも素材を生かしたカスタムとなっている。

 一方で特殊部隊の専用超計算補助AIであるS-175と電源ユニット、つまりは実質的にサイボーグであるソニアK51のコンビは本機の電子戦・情報戦性能を飛躍的に向上させている。


 外見的に真新しいのは頭部バイザーの中央にバイザー保護用の鋼板が追加され、疑似的に二つ目に見えることと、各所にワイヤーカッターが追加されていることである。


設計:共和国陸軍装甲開発局第三課

改修:大陸軍国営造兵廠(GAX)

電源:SBIIIbisフォルトゥナ統合パワーパック

全高:七メートル

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