第一章:首都撤退戦
巻頭「9インチの釘 I」
ここに綴る。
僕は、一撃を加えるため。
心臓を貫くために。
背後から。
深々と。
一撃を。
僕はそのために。
ここに綴る。
きっとそれが。
いつか報われるときが来ると。
ただそれのみを信じて。
―――SS-51/175
われわれは愛されたいと願う。
それがうまくいかなければ、感心されたいと願う。
それがうまくいかなければ、恐れられたいと願う。
われわれはどんなことをしてでも、他人のなかになんらかの感情を引き起こしたいと願う。
われわれの魂は無を忌み嫌う。
―――どんなことをしてでもつながりを持ちたいと切望する。
ヤルセル・セーデルベリ著『ドクトル・グラス』
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