バリエーション豊かな短編集。
お題がタイトルになっていますから、
みっつのお題でこんな話かなと期待しながら
読みはじめます。
期待を裏切られ、そっちかよ！　となったり
ストレートかっ！　とツッコんだり。
横に作者がいるような気分で。
各話にコメントを書けば、まさにそんな楽しみ方ができますよ。

カツラ/上司/告白。あなたなら、この三つのお題でどんな話を考えますか？
三題噺の短編集なのですが、毎回タイトルがそのままお題になっていて、読み始める前についどんな内容なのか想像してしまいます。
しかし自分の場合、その予想が当たっているかと言うと、結果は散々でした。

このお題からこんな話が生まれるんだ。これをこんな風に活かしたか。などと、発想やお題の絡め方が実に見事。もちろん、お題を気にせず純粋な短編集としても十分楽しめます。
一話当たりの文字数も短めなので、ちょっとの合間に少しずつ読み進める、なんて楽しみ方もいいかもしれません。

様々なお題で描く、何でもありの三題噺です。
怖い話、笑える話、ほっこりする話と多種多様。あなたの好きな物語も、きっと見つかるはずです。

自分はほのぼのとした話が好きなので、十話目の『猫・海・リボン』のお話が特に気に入りました。

読む、読める、読ませる。読む人の心に心地よさが残る短編集です。
本来なら重くなりがちなテーマにも、ライトな心地よさが香る描写は素敵です。

お題メーカーアプリからの3つのお題から小説を作ったものです。
3つあれば、どんなものでもストーリーになるのですね、勉強になりました。

どの作品もジャンルは違えど、作者様らしい綺麗な文体が印象です。