第五部
第122話 プロローグ
本当は、ずっと前から彼のことを誘ってみたかった。
でも、彼の傍にはいつもアタシの親友であり、恋のライバルである彼女がいて、それはいっつも叶わなかった。
二人が仲良くしている姿を見るたびに、胸がチクッと疼いてぶっちゃけ辛かった。
こういう気持ちって、なんて言うんだっけ? 嫉妬だっけ?
あんまし良くない事だとは思うけど、それってやっぱ好きな人がいる子なら誰にでもあることっしょ?
でもそれってさ、やっぱりこの気持ちが本物だって事だと思えるし、それだけ彼のことを心から好きって言える自分がいるから、そんな風に考えちゃうと思えるんだろね……。
つーか、あのスケベはアタシのそんな気持ちとか知らなくて、また新しい女の子と仲良くなってるし、しかもめっちゃ好きとか結婚してとか言われてたし、普通にライバル多すぎだってーの!
それなのに不思議だよね。
アタシは彼のことを嫌いになれない。
嫌いになれるわけがない。
だって、マジで好きだモン!
それは多分、彼と出会ったあの日からずっと想っていたことで、それは勿論、いつも彼の傍にいる彼女もおんなじだろうけどさ、アタシも負けてないくらい彼のことが好きなんだよね。
だから今回、ちょっとズルいことしちゃったワケだけどさ? でも、それくらいなら神様もアタシを許してくれるっしょ?
ねぇ、つーくん……アタシ、本気だかんね?
笑ったりとか、誤魔化したりとか、マジでナシだかんね!
アタシはこの前に彼と交わした例の約束を絶対に成功させて、もっと互いの距離を縮めたい。
多分、二人でちゃんとこんなことするのは初めてだよね。
だから、マジで超絶楽しみ過ぎて、普通に夜とか眠れなかったモン。
まぁ、うちでホームステイすることになったヒルドちゃんがアタシと一緒に寝たいとか言って、ベッドの中で変なとこ触ってきたりするのもあったけどね……。
そんなこんなで夜が明けてから、アタシは自室にある鏡の前で自分の姿をチェックする。
今日のアタシはひと足違う。
はえっ? ひと味だっけ? ま、細かいことはどうでもいいっしょ。えへへっ〜。
待っててよ、つーくん! 今日のデートで絶対につーくんをアタシにメロメロさせてやっかんね! 覚悟しろってーの!
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