第113話 久しぶりの✕✕✕

 その片手にホーリーグレイルを出現させ、聖剣の召喚準備を終えると、エクスが胸元を広げて頬を赤く染める。


 そんな彼女から視線を下げた俺の眼前に現れたのは、溢れんばかりのたわわに実った白く美しい双丘だ。


 そのひとつに俺は右手を伸ばしてゆくと、形の良いお椀型のお山のひとつを右掌で包み込むようにして、そっと優しく撫でた。


「あ……」


 右掌全体でマシュマロのように柔らかなエクスの片胸を堪能する。

 人差し指の先で押してみれば、指先が深く沈むのだが、それに反発するかのような弾力もあり、何度押してみても飽きが来ない。

 これはなんともクセになる感触だ。

 そんな動作に夢中になっていると、エクスが俺の右手を握ってくる。


「ねぇ、ツルギくん……キス、して」


「わかった」


 エクスからの甘いオーダーに俺は快く首肯すると、彼女の形良い唇に自身の唇を押し当て口づけを交わした。

 そして、うっすらと開かれた口内に舌を潜らせると、その奥で待機していた熱いエクスの舌と邂逅する。


「……ンッ」


 重ね合う唇からこぼれるエクスの嬌声が艶めかしくて、俺の性的興奮を掻き立てる。

 そっと左腕を彼女の細い腰に回して抱き寄せると、俺は唇を離した。


「……エクス、すごく身体が熱いな」


「それを言うならツルギくんもだよ……ねぇ、もっとシよ?」


 ねだるような仕草でエクスは俺の首に両腕を回してくると、更に唇を押し付けてくる。

 その間も俺は彼女の豊満な胸への愛撫を続けており、緩急をつけるたびにエクスの肩がピクンと跳ねて甘い吐息が唇から漏れていた。


 そんなイチャエロする俺たちに、スレイブが嘆息混じりに言葉を吐く。


「つーかよ〜……お前ら人間の聖剣召喚ってのは、時間がかかって面倒じゃねえのか?」


「スレイブ、少し黙ってろ。俺たちは久しぶりの再会を喜び合いながら聖剣の召喚をしてんだよ。邪魔すんなコラッ!」


「もぅ、ツルギくん! 今は私以外を見ないで……」


「あぁ、すまない。エクス、お前の可愛い顔をもっと俺に見せてくれ」


「……んもぅ、バカ」


 照れくさそうに頬を膨らませたエクスだったが、すぐ笑顔になると俺に唇を重ねてきた。


 彼女と出会ってから、散々エロイ事をしてきたけれど、今のエクスは当時と比べて、ものすごく大胆でエッチな女の子になった。

 それは俺にとって、とても喜ばしいことであり、最高なことなのだ。


 それ故に、この感動をどうにかエクスに伝えたい……。


 俺は快楽に染まって呼吸を乱すエクスの頬に右手を添えると、問いかけるように呟く。


「なぁ、エクス?」


「ハァ、ハァ……な、なに?」


 ――そろそろ、


「ふぇっ!?」


 俺の要求にエクスの顔が耳まで赤くなる。

 しかしそのあと、エクスはこくんと静かに頷くと、その豊かな両胸を白日の元に曝け出し、潤んだ瞳で俺の顔を見た。


「い、いいよ……」


「ありがとう……じゃあ――」


 ――パクッ、とね。


 これで二度目となるこの行為に、エクスのアホ毛が一瞬で反り立つと、彼女の全身がビクビクと反応し、その胸元から眩く蒼い光が放たれた。


「つ、ツルギくん……そんなに、激しくされたら……私、もう――」


 と、震える声で囁くエクスにお構いなく、俺は右の胸から口を離すと、今度は左の胸へと口を移動させた。そして――。


「はむっ」


 と、彼女のぷくっと突き出た淡いピンク色の性感帯に、赤子のように吸い付いてみた。


 その瞬間、エクスが身体を仰け反らせ、俺の頭をギュッと抱きしめてくる。


「ひゃうんっ!? も、もう限界だよ……だから、そんなにしちゃ――」


 俺の頭を抱きしめるエクスの両腕により強い力が込められる。

 これは、いつものアレが来る合図だ。


「……ら、ラメエエエエエエエエエエッ!」


 エクスの歓喜に満ちた叫びが、通路の壁に反響して響き渡る。

 その直後、彼女の胸元からは、黄金と白銀の重圧な鞘に納められた聖剣が勢い良く飛び出した。


「ははっ。久しぶりの聖剣だ!」


「ケケケッ! この姉ちゃんの聖剣も、なかなか良いセンスしているじゃねえか?」


 久しぶりに触れる聖剣に俺の胸が熱くなる。

 何度も使い慣らしたグリップを強く握りしめ、そのままエクスの胸元から一気に鞘を引き抜くと通路の床に突き刺して、刀身を抜いた。


「よし、これで準備は整った! 行くぞエクス、奴らとの決着をつけに……って、あ」


 聖剣を構えて意気込んでいた俺とは対象的に、当のエクスは頬を朱色に染めながら幸せそうな顔で虚空を見つめて横になっていた。


「……ツルギくん、大好きぃ〜」


「おいおい、ネギ坊! オメェのパートナーが昇天しちまってんぞ!? 大丈夫なのかこれ?」


「安心しろスレイブ。毎度のことだ」


「毎度のことかよ!? どうなってんだお前らは!」


 絶頂してふにゃふにゃになったエクスの姿にスレイブがかなり戸惑っていたが、俺は手慣れた感じで彼女を抱き起こすと、その顔を覗いた。


「大丈夫かよエクス。ていうか、そんなに気持ち良かったか?」


「う、うん……久しぶりだったし、なんかすごく良かった……」


「なんだこのバカップルは……見ていて胸焼けしそうだぜ」


 悪態をつくスレイブを無視して、俺はエクスと修練場の方に足を向ける。

 するとその時、俺たちの背後から、聞き覚えのある声がして足を止めた。


「待って、つーくん!」


 突然聞こえたその声に振り返ると、俺たちの背後には、顔を真っ赤にして眉根を寄せたカナデと、同じように赤面したヒルドとレイピアさんが気まずそうな表情で立っていた。


「なんだ、カナデじゃねえか。どうしたよ? そんなとこに突っ立って」


「どうしたよじゃないし!? ていうか! ……二人で、なにしてるし」


 気恥ずかしそうに俯いたカナデに、俺とエクスはハッとする。

 まさかコイツら……俺たちの聖剣召喚を隠れて見ていたのか!?


「なんていうか、ツルギ先輩とエクスさんは色々と進んでいるんですね……厭らしい」


「思春期といいますか、そういう行為に興味を一番強く持つ年齢だとは思いますけれど……すごいですね、二人とも」


「み、見てたの!?」


 軽蔑した表情で腕組みをするヒルドと、両手を股の前で握り合わせモジモジとするレイピアさんに、エクスが湯気を噴き出しそうなほど真っ赤になった顔を両手で隠していた。


 なんてこった。まさか、アレを見られていたのはかなり痛手だ。

 とは言っても、それはそれでなんか興奮するかも……。

 とまあそんな事を考えつつ、俺がニヤけていると、カナデが真剣な顔で凄んでくる。


「つーくん!」


「なんだよ?」


「その……あ、アタシにも、教えてよ!」


「なにをだよ?」


「いや、だから! 聖剣召喚の方法を……」


「聖剣の召喚方法って……なんで?」


「あ、アタシもなったんだよね! その、聖剣の精霊に……」


「はっ?」


 まさかの発言に俺は呆然とした。

 カナデが聖剣の精霊? 

 そんなバカな……というか、なんで!?

 

 カナデの台詞に俺が困惑していると、レイピアさんが咳払いをしてから説明をくれる。


「コホンッ。ツルギさん、彼女の話していることは真実です。カナデさんは、ヒルドさんの命を救うために聖剣の精霊になったのです! しかも、私の造った聖剣の!」


「強調するのそこですか? ていうか、カナデが精霊で……ヒルドがそのセイバー!?」


 なにその百合要素高めな組み合わせ〜?

 是非とも聖剣召喚の時には、ビデオカメラを持参で立ち会いたい。ちゃんとお金払うから。


 などという冗談はさて置いて、素っ頓狂な声を上げて仰天する俺にヒルドがえっへんと、ドヤ顔をして薄い胸を張る。

 するとなにを思ったのか、カナデが俺の右手を握ってきて、潤んだ瞳で上目遣いをしてきた。


「そ、そういう事だから……アタシもつーくんたちの仲間になったし。だからその……聖剣のな召喚方法を教えて欲しいんだけど……」


「いや、それを言うならだろ。スヌーズしてどうすんだよ? ていうか、それならお前のセイバーであるヒルドと練習すればいいじゃねえか?」


「なんでよ! 別に減るもんじゃないんだから、教えてくれたっていいっしょそれくらい! ねぇ、エクスちゃん!?」


「それは、ちょっと嫌かなぁ〜?」


「しれっと否定されたし!? そんなのズルいっしょ! アタシだって、つーくんにそーゆーことされたいし!」


「カナデ、お前マジか? 俺の召喚行為を一度でも受けたら、お前は俺なしでは生きられない身体になるぞ? エクスみたいに」


「ひ、否定はできない……かな?」


「んもぅ、エクスちゃんばっかズルいし! アタシもつーくんなしじゃ生きられない身体になりたいからシテよ!」


「それは聞き捨てなりません! お姉さま、ここはツルギ先輩など宛にはせず、二人でコツコツと勉強してスムーズな聖剣召喚を練習して行きましょう!」


「あのぅ、皆さん? そのような話よりも、今はもっと大事な事があるのでは……」


「つーくん、アタシにエッチな事して!」


「仕方ねえな。ヒーヒー言わせるぞ?」


「あのさぁ、ツルギくん。それ、冗談だよね? 本気なら私も怒るけど!?」


「カナデお姉さまは私だけのモノです! そんなこと絶対に許しませんよ!?」


「あのよぉ、ちょっといいか?」


 和気藹々としながら盛り上がる俺たちに、レイピアさんとスレイブが、深いため息を吐きながら言う。


「お前らが、こんなくだらねぇ事で盛り上がってる間にも他の連中は命を懸けて戦ってるんだぜ?」


「その通りです! そういう猥談をするのなら、この戦いが終わってからにしてくださいね、わかりましたか皆さん!?」


 ピシッと人差し指を立てて怒るレイピアさんに俺たちは萎縮すると、「ごめんなさい……」と、謝罪をしてから修練場へ駆け足で向かった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る