第74話 ワンランク上の聖剣召喚


 細い木々が複雑に絡み合いドーム状になった茂みを見つけた俺たちはその中に身を潜めると、早速聖剣の召喚準備に取り掛かろうとしていた。


「よし、始めるか」


「うん。じゃあ、キスして……」


 エクスはそう言うと、俺の首に両手を回して抱きつき唇を重ねてくる。

 俺は、その唇を貪るようにディープキスをした。


「……んくぅ……んぅ」


 互いの舌を絡めるたびに卑猥な音が漏れる。

 段々と興奮してきた俺は、茶色の枯葉が敷き詰められた地面の上にエクスを押し倒すと、ローブの胸元から大きく突き出たその膨らみのひとつを右手で優しく弄った。


「……ンッ」


 掌と指先から伝わるその感触は、ローブ越しからでもわかるほど柔らかであり、エクスがブラを着けていないことを証明していた。


「エクス、気持ち良いか?」


「う、うん……」


 俺がそう尋ねると、エクスが恥ずかしそうな表情をして静かに頷く。

 ほんのりと朱色に染まったその頬を俺はもう片方の手でそっと撫でると、そのまま首元を伝い、鎖骨の上へと滑らせてからエクスの双丘を両手でゆっくり愛撫した。


「……あふぅ……んくぅ」


 嬌声を抑えるように、エクスは自身の右手を口元まで上げると、そのまま手の甲で唇を塞いだ。

 もう、何度目かの聖剣召喚だというのに、この時のエクスは本当に色っぽくて艷やかであり、見ていてまったく飽きることがない。


 俺は徐々に呼吸を乱し始めたエクスの傍らにそっと添い寝をすると、形の良い桜色の唇にキスをした。


「……んぅ……はぁ……ツルギくん!」


「あれっ? エクス?」


 艶のある声で俺の名を呼んだかと思えば、エクスが突然腰上に跨り、淫靡な表情を浮かべて俺の身に着けているプロテクターと迷彩服の上着を脱がし始めた。

 その行動に流石の俺も当惑する。


「えっと、エクス? どうした?」

 

「なんていうか、いつも私ばかりこういう事をされているから、今度は私がツルギくんにシテあげたいなぁって思って……」


「なん……だと!?」


 ……なにその台詞めっちゃ興奮するんですけど!?

 予想外の展開に当惑しつつも、俺は腰上に跨がっているエクスを見つめる。

 一体どうしちゃったのよエクスたん?

 今まで、こんなに積極的なことなんてなかったのにさ?


「フフッ。ねぇ、ツルギくぅ〜ん……」


 エクスは薄く笑うと、はだけた俺の胸板や腹筋を指先で厭らしくなぞり、そのまま身体を重ねて首筋に舌を這わせてきた。

 その瞬間、俺は腰から背中にかけて電気が走ったような感覚に襲われ、生娘のような声を挙げてビクリと身体を震わせた。


「ひゃうっ! え、エクスぅ!?」


「ツルギくん、気持ち良いかなぁ〜?」


 トロンとした目で自身の唇を舐めたエクスに、俺の心臓がバクバクと鼓動を早めた。


 ……なんだこの逆に攻められてる感じは?

 それは本来、俺がするべき行為であるはずなのに、身体が抗おうとしねぇ!?


「私ね、ずっと思っていた事があるんだけど……」


「な、なにをだ?」


「もっとさぁ、ツルギくんが喜んでくれるような事をしてあげたいって思っていたんだよね……」


「おいおい、どうしたんだよエクス? なんか、今日のお前はものすんごくエッチな感じだけど、本当にどうしちゃったの!?」


「んもぅ! 私をエッチな子にしたのは、ツルギくんでしょ?」


 エクスは不満そうに頬を膨らませたかと思いきや、その口元を柔らかく笑ませて、俺の頬や首筋、更には腹筋にキスをしてきた。

 ……ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ!?

 この流れだと、俺の理性が崩壊して、暴走モードに突入してしまうわん!?


「ちょ、エクス! 待て、落ち着け……って、ああん!?」


 制止する俺の声が届いていないのか、エクスはかなり興奮した様子で俺の上半身に舌を這わせてくる。

 やがて、恍惚としたその視線が……遂には、俺の下腹部に向けられた。

 ……これは、まさか――!?


「ねぇ、ツルギくん……ココ、どうしよっか?」


「お、おいエクス? ソコをどうしようかって、お前まさか……!?」


「だって、ツルギくんはそれを望んでいるんでしょ? だったら――」


 ――シテあげる。


「!?」


 そう言った直後、エクスの指先が俺の穿く迷彩服のボトムスに伸びてゆく。

 いやん! エクスのエッチぃ〜!? 

 そんなことされたら、もうそのまま最後までしたくなっちゃうぅ〜……って、いかんいかん! これは、今するべき行為ではない! というか、その行為はちゃんとベッドの上でしてもらいたい!

 それに、俺たちが今しなければならないのは聖剣の召喚だ! というか、俺の理性ハンパねぇ!

 ここまでエロい事を可愛い女の子にされてもまだ理性で性欲を抑えられている俺ってば凄くね!?

 まぁ、本当は名残惜しいけど、ここは我慢するしかないのだ――。

 

「え、エクス!」


「ふぇっ? ちょ、ツルギくん!?」


 下腹部に伸びたエクスの細い手を掴むと、俺は彼女に対してマウントポジションを取り、その胸元をガバッと開いて、綺麗なお椀型の美しい双丘を外気に晒した。

 その行動に流石のエクスも驚いた様子で瞳を瞬かせる。


「エクス、すまない。今は時間がないから、その続きはまた今度にしてくれ」


「そ、それはわかったけれど、私の胸を晒す必要性ってあるのかなぁ〜!?」


「そんなの、あるに決まっているだろ? なぜなら……」


 先程もお伝えしと思うが、俺たちには時間がない。

 そしてその中で、エクスを確実に絶頂させる新たな方法としてはしかないのだ。


「実を言うと、ずっとコレをしてみたかったんだよな」


「えっと、そのツルギくんが言う、コレってなに?」


 戸惑った様子でエクスが首を傾げる。

 エクスを絶頂させるために俺がずっとしてみたかったこと……それは、生まれた赤ん坊が母親から免疫力を授かるために行う神秘的な行為。つまりは、授乳。

 要するにという行為だ。

 ……あれ? 結局のところ俺ってば理性を抑えられていなくね? でもまあいいよね!

 俺はエクスの両手首を掴むと、彼女の顔を真っ直ぐ見つめた。


「なぁ、エクス」


「な、なに?」

 

 ――この俺に免疫力を与えてくれないか?


「えっ……なにそれどいうこと!?」


「こういう事だ!」


 当惑して青い瞳を白黒させるエクスに俺は優しく微笑むと、眼下に聳える美しき双丘の頂点にある薄ピンク色のソレに目掛けて顔を近づけた。


「え? まさか……ツルギくん、それはちょまあああああああああっ!?」


 ――パクッ、とね。


「あ、ひゃあんっ!?」


 口内へ包み込んだソレを俺が舌先で転がすように弄ぶと、エクスの身体がビクンと仰け反り、頭のアホ毛が一気に直立した。

 やはり効果は抜群だ。


「……そ、そんないきなり、それは……ラメエエエエエエエエエエエエッ!」


 エクスの歓喜に満ちた声が木霊する。

 そして、絶頂したエクスの胸元から眩く蒼い光が発せられると、聖剣の鞘が勢い良く飛び出してきた。

 俺はそれを彼女の身体から素早く引き抜くと、慣れた手付きで背中に担ぎ立ち上がる。


「うっし、戦闘準備完了だ! それじゃあ、皆のところに行くぞエク……スぅ?」


 俺が声をかけるも、肝心のエクスは放心状態で虚空を見つめており、上下する胸元に両手を添えて必死に呼吸を整えていた。

 どうやら、絶頂の余韻に浸っているらしい。その顔はどこか艶々としていた。


「あの、大丈夫か?」


「だ、大丈夫……ちょっと、待ってて」


 エクスはゆっくり上半身を起こすと、はだけた胸元を手早く直し、俺の片腕にふらりと抱きついてきた。


「つ、ツルギくん……ちょっとまだ足元が覚束ないから、このままでもいいかな?」


「あぁ、オーケーだ。それより、そんなに気持ち良かったのか?」

 

「……う、うん」


 エクスはその顔を真っ赤にして俯くと、恥ずかしそうに下唇をキュッと噛んでいた。

 とりあえず、次の召喚からはこのパターンで行こうと思う。

 だって、エクスがすごく気持ち良さそうだったから、ここはパートナーとして、その思いに答え手あげなくっちゃね? 

 くふ、くふふふ〜。

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