第28話 初めての✕✕✕
午後十時過ぎ。
この案件をアヴァロンへ報告をしたらカナデの命はないと、グラムに釘を刺された俺たち二人はかなり悩んだ。
最初はアヴァロンに報告しようと考えたのだが、それがきっかけとなり俺たちの知らないところでアヴァロンに動きがあり、カナデの命に危険が迫る事を恐れ、俺たちなりに色々と考えた結果、とある助っ人を呼んで俺たちだけで解決することを選んだ。
そして現在、俺とエクスは我が家のリビングで助っ人である二人と合流をしていた。
「事情は理解した。勿論、快く私たちも協力させてもらおう。なぁ、犬塚?」
「えぇ、村雨先生。草薙君の頼みとあらば、僕はどんな地獄であろうとお供するよ!」
アーサーとの戦闘で重症を負った俺はエクスと共に帰宅し治療を終えたあと、村雨先生と犬塚先輩に助けを求めた。
俺たち二人の力では鎧を纏ったアーサーに太刀打ちできない。
だが、この二人の協力を得られればカナデを救出できる可能性があるかもしれないと思い、連絡をしたのだ。
「草薙、キミの話を聞くかぎり、その魔剣は相当な力を持っている相手のようだな……」
ソファに深く腰をかけ、腕組みをして村雨先生が唸る。
俺が伝えた情報だけでグラムが手強い相手であると、先生は瞬時に判断したようだ。
「鎧化したアーサーの力はとても強大で手も足も出ませんでした。剣術で言えば俺の方が上だとは思いますが、なんにせよ、あの鎧の力がある以上苦戦を余儀なくされることは確実だと思います。せめて俺にもあの鎧と互角に渡り合える力があれば……」
アーサーとの一戦を思い返すと、悔しさのあまり自然と拳を強く握ってしまう。
鎧を纏ったアーサーは本当に強敵だった。
あいつを倒すためには、今までにないような強力な力が必要だと真剣に思えた。
しかし、今の俺にはそれに対抗できる力がない。
それに、こうしている間にも連れ去られたカナデの身が心配で仕方なかった。
「奴と互角にやり合うには、相当な力が必要なのは確かだ。それに急がないと、人質にされたカナデも……クソッ!」
苛立ちを抑えきれず、ついローテーブルに拳を打ち付けた。
そんな俺を宥めるようにエクスは寄り添ってくると、そっと手を握ってきた。
「落ち着いてツルギくん。今この場で苛立っても良い案は浮かんでこないよ?」
「それはわかっているけれど、カナデのことが心配で落ち着けねえんだ!」
「その気持ちは私も一緒だよ。村雨先生、少しだけ席を外しても構わないですか?」
「あぁ、私たちは構わない」
「ありがとうございます。ツルギくん、ちょっとついてき」
「えっ? あぁ……」
村雨先生と犬塚先輩に断りを入れると、エクスがリビングの外へ俺を連れ出した。
するとエクスが俺の手を引いたまま二階へ上がってゆく。
そんな彼女の行動を怪訝に思いながら、俺はエクスに連れられ寝室へ足を踏み入れた。
エクスはここで一体何をするつもりなのだろう……。
募る疑問に眉根を寄せていると、エクスが後ろ手に寝室の扉へ鍵を掛けた。
「……ツルギくん。例のアレをしよっか?」
「例のアレって……一体なにをだよ?」
「残こりのアビリティを解放するためにその……わ、私の性感帯を刺激するんだよ!」
真っ赤な顔してそう告げてきたエクスに、俺は呆然とした。
「今の私たち四人が力を合わせてアーサーに挑んでも対抗できるかわからない……。それなら、残りのサポートアビリティにある『アーマーモード』を解放して挑んだ方が良いと思うんだよね?」
俺の目を見つめてエクスが真剣な表情で話してくる。
確かに、聖剣にもアーマーモードがあると以前に彼女が話していた。
その機能を駆使することができればアーサーと互角に戦えるかもしれない。
ならばここは、彼女の提案に応じるのもありかも知れないと思えた。
「今の私たちには更なる力が必要だよ。だから、そのためにも……え、エッチな事をしよう!」
「それは理解したけれど、エクス。なんかお前、ちょっと嬉しそうな顔をしてないか?」
「そ、そんなことないよ! 私は純粋にカナデさんを助けるためにそう提案しただけだよ!?」
「そうかぁ~? なんか最近のお前はものすんごく大胆でエッチになってきたから、本当はして欲しいんじゃないかと思ったけど違うのか?」
「そ、そんなわけないじゃん! そんなことより、早く!」
顔を真っ赤にしてエクスは俺に寄り添ってくると、腰に手を回し上目遣いをしてきた。
彼女の潤んだ蒼い瞳を覗いた瞬間、俺の心臓が鼓動を早めた。
「そ、それじゃあ、始めるけど準備はいいか?」
「……うん、いいよ!」
エクスは力強く頷くと瞳を閉じて、俺に形の良い桜色の唇を突き出してきた。
まずはキスからということか。
頬を染めて唇を突き出すエクスにそっとキスをしてみる。
「……ンッ」
触れ合ったばかりだというのに、エクスの唇は既に熱くなっていた。
少しだけのバードキスを経て、今度は舌を絡ませてみる。
くちゅっと、水っぽい音を漏らして唇が湿り気を帯びると、エクスが俺の首に両手を回してきた。
「……んふぅ……はむ」
柔らかな唇を貪るように深くキスをすると、エクスが艶めかしい吐息を漏らす。
口内の奥で絡まるお互いの舌が熱く、それでいてとても心地良くて、蕩けるようだった。
「ツルギくん……もっと、シテ」
一度唇を離すと、エクスがトロンとした表情でキスをねだってくる。
その仕草が可愛くて、俺はその鼻先をつついた。
「なんだよ? そんなにキスをして欲しいのか?」
「……うん。ダメ、かな?」
「いいに決まっているだろ」
「じゃあ……シテ」
「あぁ。ンッ」
ほんのりと頬を染めて上目遣いをしてきたエクスに俺は微笑むと、再び唇を重ねる。
寝室に響く時計の秒針の音が、妙に大きく聞こえる。
それから数秒間に及ぶ長いキスを経たところで俺はエクスにそっと囁いた。
「エクス。胸、触ってもいいか?」
「つ、ツルギくんが触りたいなら、いいよ」
その言葉プライスレス。
エクスからの許可を得られたなら迷う必要などない。
俺は優しくエクスの胸元に手を添えると、その大きな膨らみを撫でるように弄った。
「あ……すごい」
艶のあるエクスの声に、俺の鼻息が一気に荒くなった。
快楽にどっぷりと浸かり恍惚とした彼女の顏はとても淫靡で艶めかしい。
それなら、これよりもっと先に進んだらどうなってしまうのか……俺はそれを見てみたくなった。
「なあ、エクス?」
「なに?」
「その、お前のおっぱいを……見てもいいか?」
今までエクスの胸を散々触ってきたが、その美しい双丘を目にした事はなかった。
だからこそ、この柔らかな感触の全貌を俺はこの目で確かめてみたかった。
そう、この下着の向こうに広がる美しきエデンを――。
「だ、ダメか?」
恥ずかしげにそう問いかけると、エクスが耳を赤くして顔を伏せる。
その逡巡する仕草もまた可愛くて、心臓の鼓動が鼓膜の奥でうるさく鳴っていた。
「……そんなに、見たいの?」
やや上目遣いでエクスがそう訊いてくる。答えは勿論イエスだ!
「う、うん」
俺が何度も首を縦に振って答えると、エクスが一瞬だけ視線を逸らしてから、寝室の照明を指差した。
「は、恥ずかしいから! 部屋の灯りを暗くして……」
その言葉に、神々からの福音がもたらされたと思った。
……イィィヤッホオオオオオオオオッ!
これが、童貞男子の歓喜した咆哮である。
「ほ、本当にいいのか?」
「うん。ツルギくんがそうしたいなら私はそれを受け入れるよ。だって、私もツルギくんにもっと触って欲しいと思っていたから……」
視線を泳がせてそう言ったエクスに、俺は感動して泣きそうになった。
こんなに素敵なことが人生にあるだなんて信じられなかった。
もし、この現場をカナデが見ていたら、きっと罵倒されるかもしれない。
でも、この溢れる気持ちを塞き止めることができるほど、俺だって玄人じゃない。
だって、童貞なんだモン!
「じゃ、じゃあ、明かりを消すぞ?」
「うん」
俺たち二人にこれ以上の言葉はいらない。……さあ、行こう。無限の彼方へ!
寝室の照明を暗転し、エクスをベッドに座らせると上着をするりと脱がせる。
暗がりの室内でも、彼女の魅力的なボディーラインと身に着けている黒いブラジャーの形がハッキリとわかる。
震える指先で俺がブラジャーのフロントホックに指をかけると、エクスが下唇を噛んで顔を背けた。
あまりの興奮で呼吸が乱れる。
でも、ここでやめてはいけない……。
フロントホックに引っかけた指を手前に引いた直後、ブラジャーが弾けた。
そのとき、遮光カーテンの隙間から差し込む月明かりが暗がりの室内をぼんやりと照らして……その瞬間は訪れた。
「あ、あぁ……――」
月光も相まって、夜目に慣れてきた俺の目がエクスの美しい双丘を捉えた。
白くて陶器のように滑らかな肌。
そこから大きく突き出た彼女の乳房はまさに芸術作品のように美しかった。
ぼんやりと暗闇に浮かぶ薄ピンク色をした二つの先端が俺の視線を吸い寄せる。
……なんて、なんて綺麗なんだ!
「も、もういいかな? そろそろ恥ずかしいから隠したいんだけど……」
「エクスぅ!」
「ふぇっ!? ちょ、ツルギくん!」
抑えていた理性が一瞬で吹き飛んだ。
曝け出されたエクスの両胸に俺は手を伸ばすと、そのままベッドに押し倒した。
「ちょ、ツルギくん!?」
「ご、ごめんエクス。俺、もう我慢できない!」
きっと、どうかしていたんだと思う。
でも、仕方なかったんや……。
こんなに素晴らしいものを前にして抗えるわけがない! 抗える奴はち○こついてないでホンマに!
眼前にある柔らかな双丘を両手で包み弧を描くように優しく揉み解すと、エクスが自身の人差し指を甘噛みして嬌声を抑えた。
月明かりに照らされた彼女の青い瞳は揺れており、華奢な身体が愛撫のたびに脈を打つ。
乱れ始めた呼吸は次第に大きくなり、細身でありながら肉感のある彼女の身体が徐々に熱くなってきた。
「……エクス、そろそろいいか?」
「……うん。いいよ」
その言葉を合図に、俺はゆっくりとエクスに唇を近づけて優しくキスをした。
これから俺たちは大人になるのかもしれない。だとすれば、これ以上の幸せは他にないだろう。
きっと、カナデがこの光景を見たら俺を殴り飛ばすかもしれない。いや、殺しにくるかもしれない。
でも、抑えられません!
エクスと口づけをして互いの指先を絡ませる。重ねた身体に感じるこの体温がとても心地良い。
「ハァ、ハァ……エクス」
「ハァ、ハァ……ツルギくん」
「好きだ」
「私も、好き」
お互いの想いを口にして更にキスを重ねると、俺は彼女の首筋を舌先で舐めた。
首筋から鎖骨にかけて舌を這わせると、エクスが悶える。
その官能的な彼女の姿が、なんとも色っぽくて美しい。
そして、全てを受け入れようとするその包容力に俺は夢中になった。
彼女を愛さずにはいられない……。
そんなエクスの耳に唇を寄せると、俺は静かに囁いた。
「なあ、エクス?」
「なに?」
――全ての魔剣を倒し終わったあとでも、俺の傍にいてくれないか?
「!?」
その一言を告げた直後、エクスが口元を押さえて瞳に涙を浮かべた。
「ほ、本当に?」
「ああ。本当だ」
「ツルギくん……私、嬉しい!」
俺を抱きしめてくると、エクスが満面の笑顔を浮かべる。
その姿に俺も微笑むと、赤くなったその耳をかぷりと甘噛みした。
「ツルギくん……私、もう……ラメエエエエエエエエッ!」
耳カプの直後、俺たち二人のホーリーグレイルが強い輝きを放ち、エクスのアホ毛が奇麗に直立する。
すると、エクスの胸から例の合成音が聴こえてくる。
『聖剣ノエクスタシーヲ確認。サポートアビリティヲ解放』
「あ」
「やった! ツルギくん、成功したよ!」
呆ける俺を突き飛ばすと、エクスが拍手をして喜びの声を上げる。
確かに、アビリティの解放は成功した。
しかし、俺としてはこの続きがしたかった。
「これでまたひとつ聖剣のサポートアビリティを解放できたよ。これでアーサーたちと戦えるね!」
「あ、いや、それよりもこの続きを……」
「それじゃ、準備もできたことだしカナデさんを助けに行こう!」
「あの、エクス? この流れでどうしてそんな風に気持ちを切り替えられるんだ?」
「それは正義のために決まっているじゃないか? さあ、敵の本陣へ突入するよ!」
「そ、そんな……」
愕然とする俺を他所にエクスは身なりを整えると寝室から出て行った。
……神様。迂闊な俺の切なさはどこに果たせばいいのでしょうか?
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