第7話


聖女の近辺に配置される武官の選出に自身は乗り出す。

自身の疑いは誰かが晴らしたが犯人は教えてもらえずまた解決したかも疑わしい。そもそも誰が晴らしたのか。何のために。

整列する武官は正方形で並んでいる。

私は一人一人の前を通り顔を見ず、匂いで判断したこの人ではないこの人でもない。

この人だと決めた時騎士の顔は顰めていたが私は貴方が良いですと答える。

騎士は憮然とし拒否を申し出る。

愛人にはなりたくないと毅然に周囲にアピールする彼を上司と侍女に彼にします手続きお願いしますねとその場から去った。

彼は追いかけた。二人きりですねと私の声にやっと周囲に誰も来ないいない所まで連れ出されたのだと気づいたのだ。

もう一度尋問しますか? もう一度一緒に牢へ入りますか?

誰の事だ聖女の生活など自身が知るわけがない。

やはりかと確定した。

尋問の際武官がいる理由が犯人が暴れた時の抑えつける役回りだと思ったからだがそれは正解だがそれ以外にも命令があったのだ。

あのキツイ匂いの源は武官からであり、記録管が付ける際業務に支障を来す場合がある。

記録管でも付ける者もいるだろうが記録管は汗を掻くこととは程遠い仕事で付ける必要がない。

私は平手を打とうとしたがそれを止められる。

代わりに彼は大きく口を開いた。

ダッチタン。舌の先が割れている。

貴方が犯人だから私は犯人ではないのは当然ですね。

彼は否定する。自身は被害者側であると。

嘘を吐くのもいい加減にして下さい。自身を牢へ放り貴方の思うがままにしたのは貴方じゃないですか。

彼は口を閉ざした。

認めるんですねと断罪しようとした。

犯人を知っているが言えないその人を無実にしようとしたが自身も殺されかけた。

か細い言葉に激高しようとした時、侍女の呼ぶ声。

侍女に教えようとした瞬間彼はすでに動いていた。

片手で口を塞がれ地面へ押し倒される。

良いか何度も言う。届かなくても君にでも言う何度も。彼女は危険だ。危険であると認識しろ。

私はそれを拒否し私にとって彼女は掛け替えのない存在貴方ではないと拒絶する。

侍女が到着する頃私たち二人は仲良さげに手を握り握手を交わしていた。

残念ですと双方言い合う。

彼は謙遜の態度。私は惜しむ態度を示した。

侍女は本当に良いんですかと疑問を躊躇いがちに言う。

私は本当に惜しいですが彼が嫌ならしょうがない。残念がった。彼の居ない所で彼を褒め称え称賛を侍女に伝えていた。

貴族から訪問があった貴方へ貢いだ物は貴方へ三分の一返還しようという謝罪の意を込め礼はいらない受け取って下さいすればという発言に私も怒りを流し怠慢の心を見つめなおす良い機会です。

貴方が良ければなら是非にと快く承諾する。

貴族はやはり貴方は聖女。それに比べ前任の聖女は愚かだった。

吐き捨てる物言いに続けるあの女が残した厄災。あなたもそれを見た筈だ。

一連の「狩り」は貴族に対する恨み、自身の処遇を訴えた彼女の仕業だと。

そうですか。関係ないと思いますがと驚きに目を見開く。

いいえ関係ある。私の娘だもの。関係ない筈がないと力強く説得というより口撃と、スケープゴート。またの生贄。

殺人の生贄とストレスのはけ口である生贄が別個に存在しカーストと役割は紙一重に表裏一体に背負わされている。

聖女が快楽。侍女は手先。武官が殺人の手引。

貴族はそれ全てを担っている役割である。

そう全て断言した。貴族が驚きの顔と怒りに滲む顔。

貴方は私を説教した。私も説教します。貴方は卑怯であり最低である。そしてこの言葉二文字で貴方の貴族としての行い支えたのはその二つだと激高で言い放つ。叱りつけるというよりぶつける。

牢の彼は私について知ったことが二つあると言っていた。

周囲への無気力、隙だらけだと言いたかったと彼。

他者に対し抗い、無駄なことには興味がないだけだ。

貴族を言葉で表すなら幾つでもある。貴族社会に対し表す言葉は『虚栄心』『野心』『計算』『出世競争』『――権謀術数に全てが繋がる』

一連の事を隠れて「狩り」と呼んだ。

私は犯人ではない。首謀者ではないだけでしょう実際に手を下したのは貴方だと私は知っている。罪状は問われないだろうなあ。

高笑う声にそう幾ら犯人を見つけても裁く側が犯人側の大勢にいるのでは犯人を特定しても意味がない。

とでも言うと。と惚けた口調で貴族に言うが貴族は眉根を僅かに寄せ、鼻を鳴らす。私もまた体制側に鞍替え文書を貴族と会う前に提出しその間お前と決着付けようが他貴族からの横やりは助けは来ない。

その瞬間彼の顔から血の気が引き血を吐く。ここに来る際、何かを飲んだらしい。驚きでこの事を知っているのは彼と。

私は焦りに誰が誰が貴方をそんな目にと問いただす。

――狩りは始まっている。

そう言い私は急いで侍女を呼んだ。



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