ティル・ナ・ノーグ、常若の国、終わらぬ国
それから、その場にいる中から、四人の男の人が出て、棺を担いで持ったわ。
そして屋敷を出て、しばらくまっすぐに進んだのね。
茂みも何もない平原だったわ――つまり、私がいた元の場所とは明らかに違ったってことね。
そしたら、ぽつんと建っている砦についたの。
その砦から、一人の司祭さんが出てきて私たちを迎え入れたわ。
それから、その砦の中で、ミサが行われたわ。
いくつかお祈りが省略はされたけど、それ以外は普通と同じだったわね。
あの司祭さんも、きっといつかどこかで
その後またお屋敷に戻ってから、また私は馬の上に乗せられたわ。
彼はなんとも言いがたい表情をしていたわね。
私が何の食べ物も口にしなかったのを悔しがったのか、安堵したのか――案外、両方だったのかもね、あの表情は。
それから、最初のあの道のはたに戻ってきたのね。
ええ、あっという間だったわ。
やっぱり、あの黄金色の馬は
まったく別の場所、世界すらまたいで移動できる馬だったんだから、きっとそうなんだわ。
そこで彼が言ったのね。もう、きみはお帰りって。
きっと彼は私のように連れ去られて、
あなたは帰らないのって。
彼は、そこで泣きそうな声で、帰れないよって言ったの。
聞いた私が申し訳なくなってしまうぐらい、苦しそうな声だった。
そうよね、当時の三年も前に、死んでいることになっていたのだし、むこうの食べ物を口にしていたなら、仕方がないのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます