取り換え子、コルパン・シーデ

ブルーベルが鳴った後、私と彼の前にはいつの間にか、一頭の馬がいて、私は彼が促すままに、その背に乗っていたわ。

黄金色をした毛並みの綺麗な月毛の馬だったわ。きっと妖精の馬フィールラールだったのね。

彼と一緒に森のなかに踏み入れた時点で、きっとむこう側だったのよ。

彼に馬に乗せられて、彼自身も馬に乗って、そこでようやく私はあれって思ったのよ。


ええ、そうして私は善き人々ディーネ・マハの元に連れて行かれたの。


彼は、すでに善き人々ディーネ・マハに連れ去られて、彼らと同じ存在になっていたのね。


後で調べてわかったことだけれど、彼はその日の三年も前に亡くなっていたのよ。

なんでも、ふらっと二、三日いなくなったかと思ったら、ふらっと戻ってきてそのまま倒れたそうよ。

まあ、最初に言った通り、彼は善き人々ディーネ・マハにも好まれるだろう人だったから、そういう事なんでしょう。

きっと、しまったのよ。

とても珍しくはあるけれど、決してない事ではないわ。

大人はただかどわかされることが多いけれど、子供と同じようにそっくりの身代わりが渡されることもある。

もちろん、身代わりはこういったようにすぐ死んでしまうけれど。


うん、だから、そう。

私と会った彼はすでに善き人々ディーネ・マハだったのよ。

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