弔いの鐘、ブルーベル
ええ、知っているでしょう?
ブルーベルは
ええ、ええ、そう、ベルテインの時期に咲く花よ。
それが
狂い咲き、なんていう感じでもなかったのよ。
ただ、ただ、咲いていたの。当然のようにね。
そして、私はあまりにもそれが当然のようだったから、変だなんて思わなかったの。
薄暗がりの中に、真っ青な絨毯のように広がる一面の花――今思えば、とても幻想的だけど、薄気味悪い景色だったわね。
ブルーベルの真っ青な絨毯の中に、足を踏み入れたその時だったわ。
さあっと風が吹いたの。
その風は、彼の金の髪を揺らして、私の赤毛を揺らして、それからブルーベルの花を揺らしたのよ。
風に揺られたブルーベルは、からんころんと、いっせいに鈴のような音を立てたわ。
ええ、地面一杯に咲きみだれたブルーベルが、いっせいに。
その音はとてもきれいで、でもどこか物悲しかったわね。
ブルーベルはね、
でもね、その音は普通、人間には聞こえない。
聞こえてしまったら、それはつまり、その人が
だから、その音を聞いた人は
私は、最初それを聞いた時、なんの違和感もなかったの
ああ、呼んでるんだなって自然に思ってしまったのよ。
それから、鳴るはずのない花が鳴ったと、はっと気付いて、でも、その時にはもう遅かったのね。
だって、私は季節外れのこの花で、呼ばれてしまったんだもの。
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