残った者達のエピローグ

「おい! 飲み込まれるぞ!」

「分かってる!」


 ベル達の後ろから眩い光がゆっくりとエデンもろとも飲み込んでいく。

 発生源は間違いなくアルビオンだろう。


「もうすぐ出口だ!」


 ゼノが息も絶え絶えに叫ぶ。

 間一髪エデンから脱出したベル達。

 幸い光はエデンのみを包み込み、それ以上には広がる様子は無い。

 数秒後、光は収まるが、同時にエデンも跡形もなく消えていた。


「これも光の魔法か?」

「そうなんじゃねえの?」


 ベルとゼノが言う。


「いや、違う……これは俺と同じだ……」

「同じ? ってことは過去から未来に?」


 イデアルはオーに問いかける。


「原理としては同じだが、必ずしも未来へ飛んだのかはわからない」

「ん? ちょっと待て、つまりリリーはまだ生きているって事か?」

「そうだ」


 「よっしゃ!」と叫ぶゼノ。

 ベルもその様子を見て嬉しそうな顔を浮かべる。


「これ、調べれば何処に飛んだのかも?」

「ああ、わかるぞ!」


 四人は腰を上げ、歩き出す。


「まずは資材集めだな」


 オーがベルとイデアルの腕を見ながら言う。

 何はともあれ、四人はアジトへと、自分達の家へと向かい始める。


「なあ、イデアル?」

「うん?」


 歩き出して暫く、ベルがイデアルに問いかける。


「俺の名前って、もしかしてトゥルーパーが?」

「ああそうだ」


 二人の後ろで「なんかいやな予感がする」「奇遇だな、俺もだ」と会話するゼノとオー。


「因みに由来は……?」


 恐る恐る聞くベル。


「たまたま近くにあったこいつから捩(もじ)っただけだ」


 ベルの前にベルナンドを出し、見せるイデアル。

 あちゃーといった反応をする後ろの二人。


「ウソだろおい!」


 そのまま「嘘だー!」と叫びながら走り出すベル。

 その様子を笑いながら追いかける三人。


 こうして彼らの戦いは一度幕を閉じる。

 しかし、その幕が再び開く日はそう遠くは無い未来なのも確かだった。

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