#25 歌舞伎町編
歌舞伎町に来て2ヶ月が経った。
山さんとも打ち解けて毎週寿司ざんまい!
雪ちゃんの游玄亭アフターも何度かあり、美味しいものが食べられて私は大満足だった。
しかしこの頃、雪ちゃんがホストにどハマりしてしまい、一緒に遊ぶ事が少くなっていた。
愛ちゃんも一緒に行く事もあって、私は誘われてもホストが苦手なので断っていた。
ある日、付いたお客がホストの代表の男だった。
うちの店は接待などで使われる事もあるのだ。
補足だがホストの代表というのは大体NO.1である。
「優さんはホスト行くの?」
「行かないですね。はっきり言うと苦手なんですよ」
「へぇー。優さん、場内入れるからさ、うちの店に終わってから来てくれない?」
「苦手だって言ってるじゃないですか」
「苦手なくらいが丁度いいんだよ。今日はお客が居なくて困ってるんです。勿論俺が呼ぶんですからお金は要りませんよ」
「うーん…1人で行くのは難しいので友達に相談してもいいですか?」
「勿論、お友達も呼んで」
私は愛ちゃんと雪ちゃんに相談に行った。
タダという事もあって愛ちゃんは行きたがった。雪ちゃんはお気に入りのホストに会いに行くというので2人で行く事になった。
初めてのホストクラブだ。
中は池袋のお店のような感じでホストの在籍は10人くらいだろうか。
面倒だなぁと思いながら、案内された席に座り煙草を咥えると代表男がライターを差し出した。
手を振って「私は大丈夫、ありがとう」と言うと、
「本当にホスト苦手なんだね」と言われた。
「あとお酒も飲めないの。ノンアルでお願い出来る?」
「お酒飲めなくてキャバ嬢やってるんだ。大変なんじゃない」
「うん、まぁね」
「まぁ優さんは可愛いから飲まなくてもお客も付くでしょ」
「そりゃ…どうも…」
そういう所!そういう所が苦手なんだよ。
ただの同属嫌悪なんだけど、思っても無いことをサラッと言う所が苦手。褒められるのも得意じゃないし。
あと元々一目惚れとかしないし、チャラい見た目の人が好きじゃない。
愛ちゃんはそこそこ楽しんでいたみたいだけど、私にとっては退屈な時間だった。
他の席でシャンパンが空いたのでホスト達のコールが鳴り響く。
五月蝿いな。
来てみれば楽しい所かもという僅かな期待も見事に崩れて、ホストにハマる雪ちゃんの気持ちは永遠に理解出来ないだろうと思った。
それから私は送り代をケチって仕事終わりはマン喫や他の女の子達とカラオケに行ったりしていた。
ホストに行くより何倍も楽しかった。
この前入ったばかりの子と新大久保まで遊びに出かけてカラオケ屋に入ると、カラオケ機自体が韓国仕様になっていて全部ハングル文字だった。
歌える歌がないので、トッポギらしき物を頼んでみたら物凄い辛さで「罰ゲームかよ」と言いながら大笑いした。
大きい店で女の子の入れ替わりが激しい事もあり、ナンバー以外は派閥みたいな物もないし、比較的性格のいい子が多かったので私は居心地良く働いていた。
ミーティングの日で全員集合。
イベントの予定や売上報告など終わり次第、半月分の給料が支払われる。
キャバクラは手渡しが多い。
給料の列に並んでいたら、目の前にいるのナオさんじゃん。
No.1 ナオさん。
何と4年間不動の1位。
この広い箱にナオさん指名で埋まる時すらある。
いくら貰ってるんだろ…。
真後ろなので私は見てしまった…。
2cm近くある封筒。
150〜200万くらいあるよね?
これで半月分……
って事は月収400万あるの!?
すげぇ…。
ナオさんは私から見るとかなり異質な存在だ。
顔立ちは綺麗だけど、凄く美人という訳ではない。
街ですれ違って「おお!」となる感じではない。
ナオさんはお客に対してもコロコロ接客が変わるのでヘルプも少し難しい。
私はナオさんを研究してみる事にした。
続
なこがたり 夜の蝶〜JKがキャバ嬢やってみた〜 nako @nakoasuken
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