#15 歌舞伎町編
「優さんは池袋からという事ですが、お客は何本こちらに営業出来そうですか?」
「週3出勤なのでそんなにいないのですが…。本指名3本持ってこれればいいかなと。あとは場内も営業かけます」
「なるほど。うちも週3でやります?」
「あの…昼バイトやろうと思ってて(大嘘)」
「それだと3(時給3000円)くらいですね」
「以前の店も3でした。凛ちゃんからも時給上げてもらえると聞いてこちらに来ましたし、ここで新規取りますのでもう少し上がりませんか?」
「じゃあ32(時給3200円)にします」
よし、時給上がった。
しかしこれは保証時給といって一定期間しか適用されない。
例えば1ヶ月はこの時給にするからその間に営業してお客呼んでね、という事です。
給与形態はお店によって異なりますが、こちらのお店はポイント制。本指名で1ポイント、場内指名0.5ポイントなど決まりがあり、もちろん売上がなければ下がるし、上がれば上がり続ける。
しかしこれは各キャストによっても違いがあり、売上が高いキャストさんの場合、特例で売上を折半というケースもある。
私は渡されたマニュアルを読む。
こんな物は池袋の店では無かったから真面目に読んでみた。
大型店はルールが沢山ある。
朝礼終礼があったり、月に1度ミーティング。これは出勤しようがしまいが全員出席しなければならない。さらに罰金もかなり厳しい。
正直面倒だなぁと思った。
池袋の店が如何に微温湯だったかを思い知った。
早速艶やかな店内を案内されてゴージャスなクローゼット開けるとドレスが100着以上はある。
私は思わず「わー凄い」と言っていた。
池袋の店とはクオリティが全然違う。
どれも可愛いし綺麗で着てみたいドレスばかり。
私はスパンコールが散りばめられた真っ赤なドレスを手に取った。
今日から私は歌舞伎町の嬢!派手にいこう!
ボーイに案内されてヘアメイクをする事になった。
裏のドアを開けるとヘアメイクだけで10人程居る。
もはや美容院のような様子に私は驚いた。
ヘアメイクは予約制なので次の出勤日の予約を取らなければいけない。
今日は初日なのですぐやって頂ける事になった。
「あの、よろしくお願いします…」
「どんな感じにする?」
「初めてなのでお任せします」
もはや石のように固まった私に、容赦なくヘアメイクさんは櫛を入れる。
痛いッ!髪の毛ちゃんと梳かせばよかった…。
「はいはい、時間無いからねー!1人10分でさばくよ〜早く早く〜」
ヘアメイクの指揮役のような年配女性が捲し立てる。
現場は緊迫しております…緊張が更に高まる。
私の髪の毛はというと…
えぇ〜そんなに逆毛立てるの?
スプレーかけすぎじゃないですか?
痛いよ〜ヘアピンだらけだよ〜
私、どうなるの〜!?どうなっちゃうの〜!?
続
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