#3 池袋編 体験入店②

サラさんは24歳で夜の仕事しかした事がないベテランだ。

明らかに整形ではあるがとても美人、おっとりした口調から女の私も癒される。

雰囲気は女優の井川遥さんのようなふんわりとしていて落ち着きのある上品な方だ。


「なこちゃんはお酒飲める?」

「え、18歳は飲めません…よね?」


私の手元をチラッと見て微笑むサラさん。


「煙草は吸うのに?なこちゃん面白いのね」

「あっ、す、すみません!私変な事言ってしまいましたよね」

「いいよ、分からない事があったら私に何でも聞いてね」

微笑むサラさんはとてもキレイで女神のようだ。

そして私は気に入って頂けたようで安心した。


早速借りたドレスに着替える為に更衣室に入る。

何だろう…この布は!?どうやって着るの?

全然分かんねぇ…。

ドレスなんて見た事も無かったから、実際手に取るとチープな作りであるという事を知った。

そして紐が沢山付いているドレスにしてしまったので、何処と何処を結べばいいのか分からない。


ドレスを試行錯誤していたら張り紙が目に入った。

売上ランキング表だ。

この店は小さい箱で在籍15人程、出勤は8〜10人。


サラさんは4位だった。

キレイで穏やかで気品のある人だからサラさんが人気なのはすごく納得だった。


しかしそれを上回る人がいるのだ。

1位は優さんか。どんな人なんだろう。

これが女の戦いなのか…恐ろしい


そんなこんなしていると、何とか着れたような気がする…けど、これ合ってる?

何度姿見を見返しても何だか不格好な気がするし、自分にドレスなんて似合わないなぁ…なんて思ってしまい少し気を落としていた。


更衣室を出ると、真っ先にサラさんが私の元に来てくれた。

「サラさん、私全然着方が分からなくて遅くなってしまいました…これ合っているんでしょうか?」

「ここのリボン結ばないとね。はい、出来たよ。似合うよ」

さすが4位は気配り上手!



嬢は設けられた待機席に座る。既に嬢の皆さんは勢揃いだ。

まだOPEN前なので人数が少なく、5人。

ギャルの人、かなり年上であろうお姉さん、清純そうな大学生くらいの人など見回すと個性的な人ばかりだ。

そしてみんな携帯を弄っている。

何だか怖くなってサラさんの隣に座った。


ボーイに呼ばれて「皆さん、本日体験入店のなこさんです」と紹介された。

「な、なこです。あの…夜のお仕事は初めてなので宜しくお願いします」

緊張してガチガチになりながら何とか声を振り絞った。

皆さん携帯を弄りながらの乾いた拍手の中、サラさんは私に微笑みかけてくれた。


すると「初めてなんだ〜うけるんだけど」

「頑張ってね〜」

「よろしく」

時差がありながらも皆さん声をかけてくれた。


ボーイが立ち去ると、

「いくつ?何でキャバやろうと思ったの?」と聞かれたので、

「18です。お金なくて、バイト辞めた時にスカ男さんから駅前で声掛けてもらったので」と言うと

「スカ男が連れてきたの?アイツまともにスカウト出来るんだ〜」「へぇースカ男なんだ、珍しいね」

どうやらスカ男はいじられキャラらしい。


しかし嬢の皆さんは思ったよりいい人達みたいだ。

何となくキャバ嬢って怖い人達だと思っていた。


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