2・罰


 少女は人を殺したと言う。

 

 返り血で紅く染まり、強張った指先が相手を殺したと言う刃物を握り締めている。

 恐怖の余り、凶器を離す事さえ出来なかったのだ。



 白に近い顔色で、可愛らしい顔を恐怖に強張らせ、奥歯を鳴らしながら震えている少女は。

 …既に、これ以上無いと言うほど、罰を受けているように見える。




 私は少女の手から刃物を取り去り、そっと、抱き締めてやる。





 夜が明けたら警察に行こう、と囁くと、少女は小さく頷いた。




「ねぇ」

 



 少女が言う。




 私の身体に両腕を回し。




「お願いだから、今日はずっと抱き締めて」




 怖いから、と、少女は囁いた。





 私は頷き返し、少女の震える小さな身体を壊れるほど抱き締めた。

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