ハイハイレース

@trippinlife_yuji

第1話パフパフ音に阻まれた

待ちに待ったレース当日、娘の顔がいつもよりも緊張しているように感じた。


大丈夫、家の廊下で練習したし、扉の隙間を見つけたときのハイハイの速さがあればきっと勝てる!と父は思った。


天気予報では晴れのち雨。今は日差しがあり気温は低いがぽかぽか暖かい。


車から降りて、会場に着く。15分前に着いたが人はまばらだった。本当にレースがあるのかと思うほど。

しかし時間になればあっという間に人だかりができた。


妻が受付してくれた、今回午前中の部には30人の赤ちゃんが参加する。三人一組、10レース。娘はなんと1レース目に当たってしまった。ゼッケンをつけ、スタート位置についてルール説明が終われば、すぐスタートだ。

妻が娘とスタート位置にいる。何かジェスチャーをしているが、よくわからない、とりあえず一眼レフカメラで何枚か写真を撮っておこう。

運動会のBGMが流れている。


スタートした、三人とも動かない、何が起きているのかわからない様子だ。三人とも司会のお姉さんに注目している。


妻が必死でゴールから呼び掛けている。やっと気付いてゆっくりと動き出した。そうそう、その調子だ!


そのときだった、パフパフパフパフ、、

安物のおもちゃのラッパみたいな音が聞こえた。三人とも釘付け。パフパフ。赤ちゃんには効果覿面だった。


いくら呼び掛けようと頑として動かなかった。

そのうちに真ん中が1着でゴール。


結局、時間切れで妻に抱えられてゴールした。よくわからない様子だったが、僕らの間にいる娘は楽しそうだった。それでよしとしよう。


終わり

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