第二章 レベルアップの恩恵(3)

 一度家に帰るとき、再び換金するかどうかのメッセージが表示され、【魔石:C】と【ヘルスライムの核】を換金することに。

 すると……。

『アイテムを換金しました。【ヘルスライムの核】……50万円。【魔石:C】……50万円』

 となり、合計100万円という大金を再び手にすることになったのだ。

 たった二日で250万円も手に入れたことに眩暈めまいがしながらも、俺は何とか家に戻り、昼食をとった。

 しかも、さつそく畑にあった食材を使ってみたのだ。

 そのときのこんだてが『ちようりよくトマトのサラダ』、『無敵かぼちゃとえいの大根のつけ』、『神速ジャガイモの肉じゃが』である。

 これらすべての調理に、【無限のジョウロ】のせいじようすいを使ってある。

 調理しての感想は、特に地球のトマトやジャガイモと変わらなかったが、味だけが不安だった。

 だが、その心配はゆうに終わった。

「う、美味うまい!」

 おどろくほど美味おいしかったのだ。

 俺の料理のうでは人並みだ。だからこそ、この美味さは食材そのものの美味さと言ってもいいだろう。

 そして、食事を終え、ステータスを確認してみると、色々と変わっていた。


【天上優夜】

職業:なし、レベル:150、魔力:2500、攻撃力:5000、防御力:5000、俊敏力:5000、知力:2500、運:7000、BP:0

スキル:《鑑定》《忍耐》《アイテムボックス》《言語理解》《真武術:1》《気配察知》《料理:1》

称号:《扉の主》《家の主》《異世界人》《初めて異世界を訪れた者》


「めっちゃ上がってる!?」

 何と、ステータスは500もじようしようしていたのだ。

 それに、いつの間にかスキルに【料理】まで追加されている。

 ステータスが上昇した理由も、スキルが追加されたのも、すべて異世界の食材を食べたからだ。

 何というか、異世界の食材は反則だな。うらやましい。……いや、そのおんけいを受けたわけだけどさ。


    ***


 そんなことを思いながら、俺は午後、せっかく武器をあつかえるだけの筋力を手に入れたので、武術というものを調べてみるために近くの古本屋へ行くことにした。

 図書館は人が多く、利用すると毎回嫌な視線を向けられるため、行きたくないのだ。そんな理由からも、今から行く古本屋は小さくて、人もいないのでちょうどよかった。

 用意をすませ、すぐに家を出るとぐにその古本屋に向かった。

 道中に人の気配はなく、古本屋に着いても、お客さんは俺だけだった。

 えっと、武術とかのコーナーは……。

「うわぁ、スゲェ……」

 目当ての本を探して、そのたなを見つけると、びっしりと大量の武術や武道に関する本が並べられていた。

 しかも、スタンダードな剣術だけでなく、俺の求める槍術や杖術、鎖鎌術や暗殺術まで、にわたる本がそこにはあった。

 ……って、暗殺術ってどこで使うんだ!? こわいな!?

 図書館でもこれだけの種類がそろってるのかは分からないが、とにかく古い本がたくさんあるのは間違いなかった。

 流石さすがに全部買うことも、読みきる自信もないので、どうしたもんかと棚をながめていると、不意に何冊かの本に自然と目が止まった。

 それらの本は、全部バラバラの武器や流派で統一性はないのだが、何となく本能的な部分がこれを選べとささやいている気がした。【真武術】のスキルが関係してるのかな?

 よく分からないが、取りあえずその数冊なら買って持って帰るのも簡単なので、俺は深く考えずにそれらの本をこうにゆうし、そのまま家に帰った。

 その後は、晩飯のたくをするまで本を読み進め、夕食をすませてからも読み、気づけば新たに【速読】というスキルを手に入れて、買った本を読みきってしまった。

 ただ、もう夜もおそかったので、実戦は明日ということで、に入ってからとんに入り、ねむりにく。

 ────そして、再びあの激痛におそわれ、俺は気を失うのだった。

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