第31話 オーナーからの手紙
[では、オーナーからの手紙を読みますね。
みどりさんへ。ご飯は食べていますか?火傷の状態は毎日、古山先生から報告を受けています。君を火の中から助け出すのがもう少し早ければ、火傷は軽傷だったのに。悔やまれてなりません。ごめんなさい。
さて、3人からの手紙は古山先生からもう読んでもらったかな?僕の手紙はその後に読むよう古山先生にお願いしてありました。
1週間、君はよく眠っていた。
藤澤さん、ミナさん、古山鈴子さんの事は思い出したかな。ピンク、おさげ、レースちゃんとみんなあだ名で呼んでいたね。
3人との交信は本当に驚いた。これまで3組の死者達を生きている人に会わせてきました。
ということは、3人の受付さんがいたことになりますね。
4組目、そして四人目の受付の指名がみどりさんでしたから、僕は本当に驚いた。すぐに古山先生の所に鈴子さん達に行ってもらいました。そして君の状態を確認しました。
君をリメイクshop青山で採用しなくてはいけなかったからです。君にはスーパーをクビになってもらう必要がありました。
お導きというものがあります。君は住み込みで働くことも了承してくれましたね。嬉しかったですよ。ほんの少しでも君と仕事が出来た事。君は本当によく頑張りました。みどりさん、僕はずっと前から君を見守ってきました。
あなたの父親だからです。離婚して会うことは出来なかったけれど、精神病棟にいる時も、施設にいる時もです。藤澤さんは面識があります。とにかく謝ってくれました。僕は許しました。財布もネックレスも印鑑も仕上がっています。これからも君は精神科に通い続けるでしょう。僕は父親としてずっと共にいたい。
君さえ良ければ、リメイクshop青山を一緒にやりませんか?受付はもちろんもうしなくていいけれど。これから感謝を表したいという死者とそれを受けるべき生きた人の仲介者を、君に継いでもらいたい。
返事はいつでもかまいません。
リメイクshop 青山新吾
追伸 こんなお父さんを許して下さい]
古山先生の声が震えていた。衝撃的な展開に私はもう何も考えられなくなった。
古山先生は眠りに落ちる注射を打って、子守り唄を歌ってくれる。音痴がなぜか心地いい。
私はオーナーの顔を思い出そうと目を閉じた。
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