第11話 共依存
ホームベースみないな顔。
ミナの言葉で覚えていたのはそのくらい。
確かに私はえらのはった顔立ちだ。思い出して腹立ち紛れにお汁粉を食べる。
インスタントなので、お湯を注ぐだけの味気ないお汁粉だ。
注文書に汁が飛ばないように、飲みきる。
さあ、また注文書に目を落とせば、ミナと私のやり取りが映像のように現れる。ワクワクしながら、お茶も飲み干す。
画面に登場し話しているのはミナだ。ワンレンボディコンのミナが話している。
[ネックレスをあげたいのは、おさげちゃんっていう。近所の子でも親戚でもない、いわゆる友達だ。 フィリピンから日本来て夜の街で働いた。仕送りした。いわゆるジャパ行きいうのか。ユキと来た]
私は必死にメモしている。ミナはアイスティーを飲んだ。
私はミナにストローを渡している。
[ユキは悪い男にひっかかった。稼いだ金全部取られて、ないと殴られた。いわゆる縄だ。あなた、分かる? 縄だ]
[ひもですね、いわゆる]
私はおやじギャグかっと突っ込みそうな顔でいい放ち、ミナの口癖のいわゆるをつけ足しふんと笑っている。
[あなた、笑い事じゃないよ。ユキも私も一生懸命に生きただ]
ミナの怒りに触れ謝っている私。
[ユキはいつも泣いて私に電話してきた。朝、昼、晩だ。毎日同じ時間に電話してきて泣く。一度眠たくて電話出なかったら、家まで来た。ユキは男の家に行ったきりだったから、一緒に暮らしてたジャパ行き仲間も呆れてユキを無視したよ]
またアイスティーを飲む。おかわりを要求されているのだろうか。私は立ち上がり、注文書の画面から消えた。
[私がおさげちゃんに出会ったのはそんな頃だ。ユキの話を聞くために男の家に行った時、バス停にいた。ユキの電話でノイローゼになりかけていた頃だ。おさげちゃんは私を見るなり、お姉さん疲れてますね。って言ってきた。日本の中学生に話しかけられて驚いたよ。私はおさげちゃんに、ユキの事を全部話した]
リメイクしたいものはネックレスと分かっている。私は早く形を確認したくてパソコンの方ばかり気にしていた。
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