episode 2 - 5 of 6

「いつになったらお前の彼女を紹介してくれんるんだよ?」


金曜日の昼休みに、またあいつがやって来た。

「またお前か、なんだかくどいぞ。彼女じゃなくてその友人狙いなんじゃないのか?」

そう言われて言葉に詰まり、照れ笑いをしている友人の向こうから、

「何か新しい展開でもあったの?」

と、彼女の友達が声をあげた。


「いや、こいつが全然彼女を紹介してくれなくてさぁ」

「でもお前の場合、動機が不純なんだよ」

そう言われて皆で笑ったあと、友人がぼそっとつぶやいた。

「お前は週末はデートかもしれないけど、俺なんか暇でさぁ… 部活も休みだし」


「そうだ、明日から名画座で『ALWAYS 三丁目の夕日』をやるみたいなんだけど、観に行かないか?」

「あ、いいな。私も一緒に行ってもいい?」

「私も観たかったけど見逃してたから行きたいな」

珍しく彼女も会話に加わって来た。

「俺も行くよ。どうせ暇だし。でも、お前はいいのか? 彼女と会わなくても?」

「全然大丈夫」

「そうかぁ? 実はすごく嫉妬深い娘で、映画館を出た所で鉢合わせして修羅場なんてごめんだぞ!」

その言葉にひとしきり笑ったあと、彼が言った。

「明日の1時に駅前で待ち合わせにしようか。みんな都合は大丈夫?」

頷く3人の中で、彼女だけが意味深な笑みを浮かべているのに、他の二人は全く気がついていないようだった。

「じゃあ、それで決まり!」


「よっしゃ、何か元気が出て来た!」

そう言うあいつの言葉に、また皆が笑い声を上げた。

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