第4話 ラッコ
寺野くん『(中島さんはラッコが好きなんだよなぁ…)』
僕の名前は寺野かずお、いたって普通の中学3年生の男子です。
いつも隣の席の女子、中島さんのよくわからない話に付き合わされいます。
僕は今、駅前のコンビニの店内にいるのだが、
コンビニ限定のラッコのキーホルダーを見つけて買おうかどうか迷っている…
寺野くん『(こういうキーホルダーを貰ったら中島さんは嬉しいのかな?)』
色々と考えて迷ったが、
僕はそのラッコのキーホルダーを中島さんにプレゼントすることにした。
僕と中島さんはプレゼントを渡し合うような関係でもないけど、
これくらいのプレゼントだったら別に変じゃないし、
中島さんも喜んでくれるかと思ったのだ。
そして中学校の教室に入り、僕は自分の席に着いた。
隣の席の中島さんはまだ登校して来てないみたいだ。
ラッコのキーホルダー、どうやって渡そうかな…
寺野くん『(う~ん、ラッコのキーホルダーを自然に渡す方法かぁ…)』
中島さん『寺野くん!』
寺野くん『うわっ!びっくりした!』
中島さん『どうしたの?何だか、ぼーっとしてたみたいだけど?』
寺野くん『いや!あの、ちょっと考え事をね…』
中島さん『ふーん、考えてたのか、』
寺野くん『う、うん…あのさ、中島さんはラッコが好きなんだよね?』
中島さん『え?ラッコ?もしかしてラッコのこと考えてたの?』
寺野くん『あ、いや、そうじゃなくて、いやそうでもあるのか?
ともかく、中島さんが前にラッコが大好きだーみたいな話をしてたから』
中島さん『うん‼ラッコ大好きだよ‼カワイイじゃん‼』
寺野くん『きゅ、急に声がデカいね…何でラッコが好きなの?』
中島さん『ぼのぼの!』
寺野くん『ぼ、ぼのぼの?』
中島さん『うん!ぼのぼのっていうアニメがあるの!
そのアニメの主人公がぼのぼのっていうラッコの子供なの!
すっごくカワイイんだよ!』
寺野くん『あ~そのアニメ見たことあるかもしれない、
そうか、そのアニメがきっかけで
中島さんはラッコが好きになったのか~』
中島さん『うん!なんで?なんでラッコのこと考えてたの?』
寺野くん『あ、いやー、そのですね…ラッコに興味がでてきたというか…』
中島さん『ラッコはね!イタチ科の動物で、
大きさはだいたい1メートルから1.5メートルくらいで、
いつも水の上にプカプカ浮いていて、食べる物は貝とかウニとかで、
すっごいグルメなんだよ!』
寺野くん『す、すごい詳しいね…』
中島さん『ラッコの事なら何でも聞いてよ!』
寺野くん『ああ、うん、えーっと…』
中島さん『……?』
寺野くん『えーと、あの、こ、これあげるよ!ラッコのキーホルダー!』
中島さん『…あ!ラッコのキーホルダー…』
寺野くん『な、中島さんがラッコ好きだって言ってたから、
何となく買ったんだよ!深い意味は無いから、
気にしないで貰ってよ!』
中島さん『寺野くん…』
寺野くん『え?ど、どうしたの?』
中島さん『これ駅前のコンビニに売ってたキーホルダーでしょ?』
寺野くん『そ、そうだけど…』
中島さん『私もこのキーホルダー、昨日、買っちゃったの』
寺野くん『え……』
中島さん『……』
寺野くん『……うわーお、』
中島さん『……うわーお、』
寺野くん『……そ、そうなんだ、じゃあ自分で使おうかな…
カバンにでも付けようか…』
中島さん『…それ、ちょうだい!』
寺野くん『え?でも同じの二つになっちゃうけど…』
中島さん『私のキーホルダーあげる!』
寺野くん『……』
中島さん『おそろい!』
寺野くん『ははは…そうだね、そうしようか!』
中島さんに『おそろい!』と言われた瞬間、僕は気づいた。
僕は中島さんが大好きだ。ハッキリと好きだという気持ちに気づいてしまった。
ちなみに、このやりとりのすべてを教室にいる全員の生徒が見ていましたとさ。
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