第2話 キリン
中島さん『キリンはバランスが悪いよ』
寺野くん『……』
僕の名前は寺野かずお、いたって普通の中学3年生男子です。
隣の席の中島さんは今日も変な疑問を僕にぶつけてくるのです。
寺野くん『…今日はキリンの話?なんでキリンはバランスが悪いと思うの?』
中島さん『だってキリンは首も長いし足も長いじゃん!
どっちかにしてほしいのよ!』
寺野くん『ど、どっちか?』
中島さん『キリンが首が長いのは高い所にある葉っぱを食べるためでしょ?
だったらキリンは首だけが長ければ良いと思うの!
足は短くてもいいじゃん!』
寺野くん『ネッシーみたいだね』
中島さん『ネッシーは嘘だったんだよ!今はキリンの話!』
寺野くん『あぁ…すいません』
中島さん『キリンは足も長いから、水を飲む時に4本の足を広げて、
体制を低くした状態で水を飲むんだって!
足が長いから不便になっちゃってるんだよ!』
寺野くん『座って水飲めばいいのに』
中島さん『キリンはめったに座らないんだよ!
座ってる間に襲われちゃったりするから、基本は座らないんだって!
昨日、テレビで言ってたよ!』
寺野くん『そうなんだ、うーん…
つまりキリンの首だけが長くなればいいってこと?
なんか妖怪のろくろ首みたいになっちゃうじゃん』
中島さん『ろくろ首は架空の妖怪でしょ!今はキリンの話だよ!』
寺野くん『た、例え話に何でそんなに怒るんすか…
じゃあ足が長くなればいいんじゃない?
それなら首が短くても高い木の葉っぱに届くから
キリンは食事ができるよ』
中島さん『足を長く…キリンは5メートルくらいあるから、
それだと足の長さが4メートルくらいになっちゃうんじゃない?
たぶん足がポッキリ折れるよ?』
寺野くん『うむむ…考えてみれば足が長い方がグラついて危ないし不便かなぁ?
劇団四季のライオンキングのキリンみたいになっちゃうね』
中島さん『……寺野くん、』
寺野くん『(あ!しまった!また例え話をしてしまった!怒られる!)』
中島さん『劇団四季って何?』
寺野くん『あ!何でもないんだよ!忘れてください!
そうだ、キリンって何で黄色なんだろうね?
黄色い動物って珍しいよね!』
中島さん『……昨日テレビでみたら意外と茶色だったよ』
寺野くん『そ、そうなんだ(ふぅ、何とか誤魔化せた)』
中島さん『キリンは斑点の部分が茶色で線の部分の色は白っぽかったよ』
寺野くん『へぇ~、黄色じゃないんだ、何となく黄色のイメージだけどなぁ』
中島さん『色といえば、キリンは舌が紫色だよね』
寺野くん『あ~何か聞いたことある。キリンの舌はニョロニョロ長くて、
しかも紫色だから、ちょっと気持ち悪いみたいなの聞いたことある』
中島さん『あ!そうか!舌が長ければいいんだ!
舌が何メートルも伸びれば首が短くても、足が短くても、
高い所の木の葉っぱに届くよね!』
寺野くん『そうなると、体が馬くらいの大きさで
舌だけが何メートルも伸びる動物、ってことになるね…
ちょっと気持ち悪いなぁ』
中島さん『なんで?すごい便利じゃん!
体を動かさなくても舌を伸ばせば食事もできるし、
その舌で物だって運べるよ!』
寺野くん『そう考えると便利かもしれないけど…
あ、でも舌が汚れちゃうよね、キリンは平原で生活してるから、
舌がニョロニョロ長いと、
食事したりするときに土とか砂とかが舌に付いちゃうし、
水を飲むにしても、その長い舌が水に浸かるだけで、
水そのものは飲めないんじゃないかなぁ?』
中島さん『う~ん、ダメかぁ、どうにかキリンを助けてあげたいなぁ』
寺野くん『た、助ける?じゃあ鼻が長ければいいのかな?』
中島さん『それって象じゃない?』
寺野くん『あ、そうか、何だか変なこと考えすぎてパニックだよ…』
中島さん『変なことじゃないよ!
キリンは足が長いせいで不便だし、
座ったら襲われちゃうから立ったまま寝るし、
私がどうにかしてあげたいの!』
寺野くん『ああもう!じゃあキリンをペットとして飼えばいいじゃん!』
中島さん『え?キリンって飼えるの?』
寺野くん『たしか届け出を出せば飼えるはずだよ!
そんなに言うなら中島さんがキリンを飼って、
自分が思うように育ててみればいいじゃないか!』
中島さん『……寺野くん!』
寺野くん『な、なんですか?』
中島さん『そこまでの話はしてないよ』
寺野くん『……』
中島さん『授業始まるよ』
寺野くん『ああ、うん。何かゴメンね…熱くなっちゃって』
今日も中島さんは全力投球だったとさ。
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