第10話 船上バトル開始

「おや緋色君。私の傑作に戦いを挑むつもりですか。この、戦闘人形パンゼに。生身の人間では勝ち目はありませんよ」

「ララちゃんは戦わせない。僕が盾になってララちゃんを守るんだ」


 自分の命は取らないだろうという推測に基づいた行動。

 無謀だと思いながらも自分を止められない緋色だった。


「お兄ちゃん、無理はしないでね。このゴリラは私がやっつけます」


 ララに手を引かれた緋色は片膝をついてしゃがみ込む。ララは緋色の頬に唇を当てた。


「ふふふ。恋愛ごっこも面白いですね。でも、このパンゼの性能実験には付き合ってもらいますよ。ララちゃん」


 トリニティがララを指さすと、パンゼと呼ばれた戦闘用ロボットの三つ目が点滅する。両腕を上げ力こぶを作るかのようなポーズを取った後、ララに向かって右拳を振り下ろした。

 ララはその拳を避けもせず右手だけで受け止める。


「下がってて。お兄ちゃん♡」


 緋色は後ろへ下がる。距離が開いたことを確認したララはトリニティに向かって叫ぶ。


「私がこのゴリラと戦えば緋色は解放するんだな」

「ええ間違いなく。緋色君は解放しますよ。緋色君はね」


 含みのある言い方をするトリニティ。


「パンゼ、そこの人形を叩き潰せ」


 再び赤い三つ目が点滅する。左拳をララへ叩きつけるがララは消えていた。

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