第9話 戦闘人形登場

 トシ・トリニティと名乗った男は堪能な日本語を操り、見た目も日本人そのものだった。外見も10代であろう初々しさを持っていた。


「さてこんな所に連れてこられてお困りでしょうね。ララちゃんに警告しますよ。船を破壊して逃げようなんて考えないことです。学校は制圧したまま。生徒の大部分は解放しましたが、教員と一部の生徒は拘束したままです。緋色君のクラスメイト39名ですよ」


 ニヤニヤ笑うトリニティ。ララは一歩前に出てトリニティを睨み上げる。


「じゃあ貴様の心臓を握り潰して幕を引いてやる。このゲス野郎」


「人質の命は惜しくないと? ララちゃんはもう少し賢い個体だと認識していましたが」


 パチンと指を鳴らすトリニティ。

 すると甲板上のエレベーターがせり上がって来た。

 其処にはごついロボットがいた。赤い三つ目が印象的な真っ黒なロボット。身長は2.5mもあり腕が長く脚が短いゴリラの様な体形をしていた。


「三谷の研究は異常だよ。人間そっくりな筐体に戦闘力を持たせるなど無意味だ。純粋な強さを求めるべきだとは思わないかね」

「思わない。三谷博士は人とロボットのつながりを最も重視している。強さは二の次だ」

 強気に返事をするララだった。緋色は三谷博士から聞いた注意事項を思い出す。①プリンを食べさせる。②大変高価。③機密事項の塊。④戦闘力は高いがむやみに戦わせない。⑤♡♡♡可能だが攻略難易度が高い。

 ここは②③④に該当するのだろう。戦わせて壊れたりしたら弁済なんてできない。それに、あんなごつい戦闘ロボットと戦うなんて無茶だ。

 そう思った緋色はララの前に立ち両手を広げていた。

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