第8話 略取される二人

 屋上へ上がるとそこには数名の兵隊がいた。

 指揮官らしき兵隊が笑顔で話しかけてくる。


「おお。ララちゃんと緋色君ですね。よく来てくれました。手荒な真似をしたくなかったので大変助かりました」

「私たちをどうするつもりだ」

「悪いようにはしません。さあヘリへお乗りください」


 緋色とララはヘリに乗せられた。

 学校の屋上から飛び立つヘリ。そのまま海の方へと飛んでいく。


「僕たちを何処に連れていくのですか?」


 緋色の質問に対し兵士は寡黙だ。


「何をするのですか?」


 兵士は黙ったま口を開かない。

 先ほど話しかけてきた指揮官らしき男は別のヘリに乗っていた。


 ヘリはそのまま海上を飛行し、一隻の大型貨物船に着艦した。


 緋色とララはヘリから降ろされた。

 特に手荒い扱いはされず、小突かれることもなかった。


 甲板上には黒いサングラスをかけた背広姿の男がいた。

 そいつはにやりと笑いサングラスを取る。

 緋色とそう変わらない年齢であろう若い男だった。


「私の名はトシ・トリニティ。緋色君とララちゃんだね。よろしく」


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