第3話 緋色に恋は難しい

 緋色が家に帰ると親戚の三谷博士がいた。


「やあやあ緋色君。この娘は気に入ってくれたかね?」


 三谷博士はとある大企業で最先端のロボットを作っている人だ。

 と言う事は、この娘はロボット?

 いや、人間そっくりだからアンドロイドというのだろうか。


 三谷博士は緋色にこっそりと耳打ちする。


「君好みのタイプは調べている。名前はララ。遠慮しなくていいぞ」


 その三谷の尻を女児アンドロイドが蹴飛ばす。


「聞こえているぞ。このスケベ親父」

「痛いな。ララちゃん」

「少しは遠慮させろ。馬鹿者」

「ははは。すまんすまん」

「改めてご挨拶いたします。私は三谷博士製作のアンドロイドです。名前はララ。よろしくね」

「はい、ボクは緋色です。こちらこそよろしくお願いします」

「緋色君。君に恋人がいないと聞いてね。このララちゃんを傍において可愛がってくれたまえ」


 その一言で再びララは博士の尻を蹴飛ばす。


「ララちゃん。痛いじゃないか」

「誤解を生む表現は控えろ、この馬鹿者が」

「はは。厳しいな。ララちゃんは緋色君に近寄る悪い虫をすべて排除する設定がなされている。男女共にだ」

「そういう事です。緋色、よろしくね」


 そう言って緋色の手に頬ずりをするララ。

 緋色は何故博士が自分の好みを知っているのかわからなかった。


 しかし、確定した事実が一つあった。

 それは悪い虫の排除。つまり、緋色が他の女性と恋愛する事を阻止する事であった。


 そしてそれが意味することはただ一つ。


 竹内緋色に恋は難しい。

 普通の恋愛は不可能なのかもしれない。


 しかし、アンドロイドのララは緋色にとっては理想の女性なのであった。







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