第2話 ボーイミーツガール


 緋色の手を掴んだ少女はまだ小学生くらいだった。

 身長は140㎝ほど。

 しかし、青い瞳に金髪だった。短めのツインテールにしていた。

 ジーンズにジャンバーを引っ掛けたボーイッシュな格好だったが、ジャンバーの色はライムグリーンでKawasakiのロゴが入っていた。


「お嬢ちゃん。僕たちはそのお兄ちゃんに話があるんだ。向こうに行ってくれるかな?」


 リーダーらしき男が猫なで声でその女児に話しかける。


「お兄ちゃんは私と遊ぶの。あんた達はあっちに行って!」


 その一言は何故か貫禄があった。


「僕たちが先約なんだよ。約束してるの。意味が分かるよね」


「ふん。この嘘つきが。喧嘩なら私が買ってやる」


 その刹那、その女児は前の男にローキックを放っていた。

 男はその場に倒れ、脛を抱えて転げまわる。


「何だこのガキ、やっちまうぞ」


「脅す前に手を出せ。ヌル過ぎる」


 正拳でみぞおちを突く。別の男には側脚で脇腹を蹴り飛ばし、また、一本背負いで地面にたたきつける。


 一瞬で三人倒した。先の一人と合わせ四人が苦痛でうめいている。


 残った一人は青ざめて逃げようとしたが、尻の中心、肛門を蹴りつけられ悶絶した。


「今日はこの位で勘弁してやる。次にちょっかいを出したら心臓を握り潰してやるからな。このクズが」


 これは勝利宣言と言うべきものだろうか。

 この金髪ツインテの女児はにこやかに微笑み緋色の手を掴む。


「さあお兄ちゃん。お家に帰ろ」


 緋色は女児に手を引かれ家路についた。

 しかしこの娘は誰なのだろうか。緋色には心当たりがなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る