緋色と金色

暗黒星雲

緋色と金色

第1話 緋色の恋愛観

 竹内緋色は倒錯した恋愛観を持っている。


 恋人候補は?


 目からビームが出せる人。


 結婚したい人は?


 大気圏突入性能を完備している人。


 クラス文集にそんな事を書くものだから当然からかわれる。

 まともに取り合ってくれる人はいない。


 帰宅部の緋色は放課後すぐに帰宅する。

 付き合う友達もいないし、異性とデートするなんてことがあろうはずもない。


 緋色がバスを降りてすぐ、隣町の不良グループに目をつけられる。

 体格は緋色と同じかやや小柄。

 しかし5人。

 喧嘩になったら痛めつけられるのは目に見えている。


 即、走り出せばよかったのかもしれない。

 しかし、既に囲まれている。


「お兄ちゃん待った? おうちに帰ろうよ」


 唐突に女児の声がした。

 緋色には兄妹はなく、自分に声を掛けられているとは思わなかった。

 しかし、声の主は不良の隙間をさっと抜け、緋色の手を掴んだ。




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