3秒クッキング

今から紹介するのは、3分ならぬ、3秒クッキングである。


しかし、実際に3秒で料理を作るのは不可能なため、特別ルールが設けられている。


「チャンスカード」と呼ばれる3種類のカードの使用が許可されている。




1.ストップカード




これは時計の針を30秒だけ止めることができるカードである。




2.スキップカード




これは加熱に時間がかかるものを「出来上がっている状態」にするカードである。




3.ヘルパーカード




これは助っ人を使うことができるカードである。












このチャレンジに成功したものはまだいなかったが、今回新たにチャレンジャーが現れた。


スタジオにはボックスが設置されており、その中からレシピがランダムで選択される。




「今回はミートソースのパスタです!」




早速チャレンジャーはストップカードを使い時計の針を止める。


次にヘルパーカードを使用。


控えの料理人が厨房に入ってくる。




「ミートソースの準備! 急いで!」




即座にひき肉を炒め、トマトをペーストする。


チャレンジャーはすかさず鍋にパスタと水を投入、スキップカードでゆで上がったパスタを準備。




「さあ、残るはミートソースのみ!」




時間は20秒経過。




皿にパスタをのせ、ミートソースが煮立つのを待つだけである。


9、8、7、6……




プツプツと鍋のソースが煮立ち始めた。




「OKよ! かけて!」




助っ人が急いで駆け出し皿にソースをかける。




2、1……




「できたっ!」




何とストップカードの時間1秒を残して料理が完成した。


このボーナスタイムにより、開始1秒から差っ引いて実質0秒でパスタが出来上がってしまった。




「す、すごい! タイム0秒! 0秒でパスタが仕上がりました!」




こうして3秒クッキングは幕を閉じた。


後日、「何がチャンスカードだ! ふざけるな!」というクレームが殺到したのは言うまでもない。








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