ドラゴン広報部
とある会議室で、3人の男女が頭を悩ませていた。
この3人は、ドラゴン委員会のメンバーであり、「今年のドラゴン」を決める為の会議を開いていた。
「この街角アンケートの結果を見てくれ」
それは、ドラゴンに対してどのようなイメージを持っていますか? というアンケートであり、下記に記すような結果が出ていた。
獰猛 35パーセント
怖い 30パーセント
かっこいい 15パーセント
ゴツゴツしている 10パーセント
分からない 10パーセント
「ネガティブな意見が多いわね」
書記の女性がアンケートを見て呟いた。
「その通りだ。 ドラゴンというと、鱗の覆われた体に、鋭い爪と牙、炎を吐く、などという特徴から、女性への人気が著しく低い。 そこで今年は、可愛らしいドラゴン、をテーマに考えていきたい。 誰か案を出してくれ」
新人の松本が手を上げて答える。
「はいっ! ゴツゴツしている、というのがあるので、フサフサさせてみたらいかがでしょうか?」
進行がホワイトボードに案を書いていく。
「鱗を取ってしまえばいいのというわけか。 他には?」
書記がアンケートを見ながら答える。
「やはり、体が大きい、というのが良くないかと。 サイズを人間より小さくしてみては? ついでに、牙と爪も取っちゃいましょうよ」
ホワイトボードに、サイズを小さく、牙と爪を外す、と書き込む。
「俺からも一つ案がある。 鳴き声を、高くて優しい感じにしたら、威圧感が薄まると思うんだが」
こうして、出された意見を元に、今年のドラゴンの製作が行われた。
今日は、今年のドラゴンの公開日である。
とある会場に、これを一目見に来ようと大勢の人が駆けつけた。
また、この様子はネットでも公開され、視聴者はコメントすることができる。
「今年のドラゴンです! どうぞ!」
暗幕から、ドラゴンが姿を現した。
白くフサフサ毛並み、サイズは人間より小さく、丸っこい。
ひょこひょこと歩いてくると、にゃ~ん、と鳴き声を発した。
「猫じゃん」
このコメントで画面が埋め尽くされたのは、言うまでもない。
おわり
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