偉人の育て方

クリスマス。


それは、子供だけでなく親にとっても重要なイベントである。


なぜなら、クリスマスに与えられた物が、子供の将来に影響してくるからだ。 




 例えば、テニスラケットを子供の枕元に置けば、将来テニスプレーヤーになるだろう。


また、ヴァイオリンをプレゼントに選べば、やがてはオーケストラで演奏するに違いない。


ボールペンを置けば、学校の先生に、メスを置けば、医者にと、子供の将来は無限に広がる。


 そんな中、一風変わったあるものが、世界的に有名なある偉人を生むこととなる。












 クリスマスの夜、とある一家では、七面鳥の丸焼きが夕食として用意されていた。




「うまそー!」




「良く味わって食べろよ」




 この家はとても貧しく、七面鳥を準備するのにも、数ヶ月前から節約して資金を貯めなければならなかった。


当然、プレゼントを用意することは出来ず、父親は苦し紛れに、七面鳥の骨を箱に入れ、そっと少年の頭上に置いた。




(許せ、息子よ)




 次の日、少年は箱の中身を見た。


そして、この骨が何の骨なのかを父親に問いただした。




「ねぇ、これ、一体何の骨なの?」




「……」




 頑なに答えない父親。


少年は何としてでも、この骨の正体を暴こうと躍起になった。


 図書館にある生物の本を頼りに、その正体へと近づいていく。




(これは、鳥の骨に似ている…… まさか、プテラノドンか!?)




 少年は博物館に出向き、プテラノドンなど、あらゆる恐竜の骨と比較して、真相へと近づいていった。




 それから数年後、とある大学の教壇に、成長した少年の姿があった。


彼が手に持っているのは、あの時の骨である。




「この七面鳥の骨から、全てが始まりました。 両親のこのプレゼントは、私の生涯最高のプレゼントです」




 名をインディー・ジョーンズ。


誰もが知る、考古学者の名である。










おわり




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