無意味には意味を。罪には贖罪を。

 例の異変を生き延び、地下シェルターで厭世的な日々を過ごしていたアニマルガール・アオサギ。
 生きる理由を見失い、死ぬこともできず、自分が生き残ったことを“罪”と捉え、数十年もの間、孤独に閉じこもっていた。

 そんな彼女の前に、ある日突然、「旧友」を名乗るアニマルガール・クロウタドリが現れる。
 彼女は、ふたりの共通の友人であるクロツグミの「死に場所探し」という不可解な旅に、アオサギも同行してほしいと告げる。

 最初は拒絶していたアオサギだが、クロウタドリの言葉に心を動かされ、やがて自分自身の生き方を変えるために旅立つ決意をする――。

 旅の途中、彼女たちはかつての異変を生き延びたフレンズや、異変後に誕生した新世代のフレンズたちと出会い、それぞれが抱える傷や想いに触れていく。

 そうした出会いが、少しずつアオサギの心をほぐし、世界の見え方を変えていく。

 生きること、罪と向き合うこと、その先にある希望――
 登場人物たちの心の旅路は、美しい情景描写と繊細な心理表現とともに丁寧に描かれていきます。

 けものフレンズの二次創作の中でも、重厚なテーマとシリアスな展開を貫く本作は、単なるファンフィクションに留まらず、強いメッセージ性を持った傑作だと感じました。

 彼女たちの旅の結末がどのような形であれ、最後まで見届けたい――
 そんな気持ちにさせられる物語です。

 ぜひ一読をおすすめします。