本当

「あ、ごめんね。ちゃんと自己紹介してなかった。私下田琴葉っていうんだ。ことはって呼んでね!」


私はこの女と何のために今こうして話してるのだろう、分からない、今からラブホテルに行ってこの女とセックスするのか?...分からない、目の前の人間が、私に何を求めていて何を欲しているかが分からない。気持ちが悪い、この妙な間が、私が何もしていないのににこやかに幸せそうに微笑んでいるこいつが、気持ちが悪い。


「みおちゃん。私君の事が、好き。愛してる。だから、私の恋人になって...。」


真剣な顔で彼女はこう言った。

理解ができなかった。女が、女を?愛してる?どうせ優しくすれば私をいいように使えると思ってそんなことを言っているんだろう。分かっている、期待なんてしていない。愛なんてない、人間には欲しかない、汚らしい欲にまみれて衝動的に動いて傷ついて傷つけて、それの繰り返し。『愛してる』なんて綺麗な響きなんだろう。その言葉が本当だったら、本当なら私は.....、、


「私はみおちゃんの体が欲しいんじゃないよ。隣に居て欲しいだけ。本当の愛を、私が教えてあげるから」


馬鹿だと思う。でも私は信じてしまった、一瞬でも、期待してしまった。こんな自分を愛されたいと、願ってしまった。




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狂愛 三船くゆう @Mifne_kyu

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