蒼星のエグザガリュード 鬼神の棲む星

雄大な自然

鬼神の棲む星

「何をしている、敵はたった一騎!」

傍らの副官の叫びを聞きながら、メダイオ帝国のダルトン=ギムダール・パクストン将軍は眼前で彼の率いた4千隻の艦隊がたった一騎の敵に蹂躙されるのを眺めているしかなかった。

彼の見つめるはるか先に、青い星がある。

地球。

百光秒に満たない距離は宇宙では目と鼻の先も同然だ。

だが、そこに至る道ははるかに険しかった。

地球政府への降伏勧告のために艦隊の半分を先行させた分艦隊は、今やただ一騎の敵の前に壊滅状態となっていた。

敵の出現から、艦隊の壊滅までわずか数分足らず。

敵の姿を見た将軍が自ら出撃を決意し、準備を命じて発進体制を整えるころにはすでに手遅れになっていた。


「光速騎士は何をしているのか!たったの一騎だぞ!」

旗艦メスリアの甲板上に立つダルトン将軍の駆る闘将機ギルバグの横で副官の装機サブデラが矢継ぎ早に指示を出す。

だが、その頑張りもむなしく、目の前では艦隊が次々に爆発、消滅していく。

その様子を前に、ダルトン将軍自身が動いた。

「無駄だ。あれは超光速騎士であろう」

「ありえません。地球人が光速を超えることなど……」

光速騎士。生身で光の速さに到達する突然変異の天才戦士の総称だ。

一つの惑星で数人、多くても10人に満たないと言われるほどの武才を誇る戦士は、数十の恒星系を所有するメダイオ帝国でも貴重な人材だった。

その上位次元である超光速騎士ともなれば、恒星系どころか銀河系で数人という希少種になる。

ダルトン将軍自身がメダイオ帝国でも数人しかいない超光速騎士の一人だ。

さらにその上の神速騎士ともなれば銀河団規模で一人いるかどうかという話になる。

地球という辺境の惑星に、光速域に達した戦士が、ましてや超光速域の戦士がいるとは考えられなかった。

「それができるから、フォルセナの獣王が王機を預けたのだ。違うか?」

将軍の言葉に、副官が押し黙る。

将軍の目には、光の点が次々と宇宙戦艦に飛び移り、その剣で艦体を両断し、その砲で船体を貫いて回る姿が映っていた。

副官には見えない敵の動きが、将軍には見えている。

常人には、艦隊の間を飛び交う光の線しか見えていないだろう。それが、光速騎士の戦いだった。

ギルバグの右手が地球に向けて振るわれ、その指を突きつける。

「破砕砲、準備!」

「——!しかし、あれを使えば地球までなくなってしまいます」

「だからこそ奴は受けざるを得まい。威力を集中させ、射程を調整。地球の大気層に届く前に減衰させろ。多少地表が焼ける程度は構わん……が、受けさせるには充分だろう」

「わ、わかりました!」

困惑しながらも副官が配下に指示をだし、メスリアの主砲の発射態勢を取る。

メスリアの艦首から恒星すら一撃で破壊するエーテル光弾が放たれた。

惑星破砕砲。それは宇宙空間を切り裂き、地球へ向けて光の軌跡を描く高温、高密度のエーテルそのものだ。

その光と地球の間に、一粒の光点が割って入った。

彼らが敵対する40リット(約40メートル)程度の装機など宇宙においては砂つぶに過ぎない。

だが、その粒の前に、光の束は弾かれて消えた。

「は、破砕砲弾、消失。消失しました!」

「馬鹿な!受け止めたというのか!?惑星の半分を吹き飛ばす威力があるのだぞ!?」

メスリアの艦橋ブリッジで情報分析を行う戦術予報士オペレータと副官のやり取りを横目に、ダルトン将軍はそれを行った敵の戦力を図っている。

予想された状況だった。

「艦隊陣形の最大出力で再度破砕砲発射だ。急げ!」

「し、しかし……」

「構わん。敵は防がざるを得んのだ。先の一撃で証明済みよ」

最初の一撃は敵の動きを見るための様子見に過ぎない。

避けても、地球への損害は最小限になるように調整していたのだ。

それを阻止した時点で、敵の動きは確定している。

「艦隊、破砕砲最大出力体勢!」

ダルトンの、闘将機ギルバグの腕が振るわれ、将軍の指示のもと、彼が直接率いていた4千の艦隊が旗艦メスリアを基点に地球に向けて逆円錐の陣形を取る。

さらに周辺の艦船が旗艦メスリアの前方に円陣を展開。艦体同士がエーテリアの糸でつなぎ合わされ、メスリアの前にいくつもの巨大な魔法陣を作り出す。

「破砕砲、発射!」

メスリアから放たれたエーテル光弾が艦隊の展開した複層巨大魔法陣でさらにその威力を増大させ、肥大化したエーテルの奔流が地球へ向けて放たれた。

――修羅しゅら真撃拳しんげきけん

その言葉は、宇宙を震わせた。

声の伝わることのない真空の宇宙で、巨大な思念が放たれ、巨大なエーテルが地球の前で弾けた。

そして、次の瞬間、ダルトン将軍の前で無数の火が瞬き、展開した艦船が次々と爆散した。

彼らの放った惑星破砕砲弾をはるかに上回るエーテルの渦が、光弾を飲み込んで逆流し、艦隊をも飲み込もうとしていた。

「超熱源体、急速接近!」

戦術予報士の悲鳴に、艦長の怒号が応え、旗艦メスリアは急速に方向転換、その余波をかろうじて乗り切る。

「なんだ、何が!?」

「落ち着け、状況報告!」

なにが起きているのか、事態を把握出来たものは誰もいない。

だが、その言葉の間にも戦艦がその光の余波に呑まれて消えていく。

数万度の超高熱にも耐える戦艦の防御障壁が、余波だけで蒸発して消えた。

「化け物だ」

次々と生まれる火球、その直前まで艦艇だったものの末路に、瞬く間に千を超える艦艇が鉄クズに変えられる様に、副官が呻いた。


「て、敵機、情報分析、入りました!」

「遅い!」

艦橋ブリッジ戦術予報士オペレータからの解析情報の提示に、副官は苛立つ声を上げた。

敵の反撃で艦隊が半壊してからではあまりに遅すぎる話だった。

「も、申し訳ありません!し、しかし敵のエーテリア量から、敵は66階梯と推測されますので」

「何かの……何かの間違いではないのか!地球人なのだぞ!敵はッ!」

「何度も確認しました!何度も!」

副官が悲鳴を上げて抗弁する戦術予報士をしかりつけるさまを横目で見ながら、ダルトン将軍はその言葉の意味に気づいて震えた。

「……敵は、あの男は地球人では、ないのか?」


地球人自体は星海連合におけるただの平均的なノルド種に過ぎない人型種族だ。

種族として強力なエーテリアを保有することもなく、強靭な肉体も持たず、技術的にも宇宙進出を果たして数十年停滞していた新海銀河辺境の発展途上国に過ぎない

そんな地球という星が、10年近く前に7つの超銀河団=七大星海の国家群で形成される星海連合に加盟した時、各国は驚きと嘲笑を以って迎えた。

連合加盟国の中で、単一星系国家自体は珍しくもない。

だが、単独で恒星間飛行する手段もないままに連合入りした国家など前代未聞だ。そういった星は、どこかほかの惑星国家の傘下に入るか、併合されるのが宇宙の常であった。

だからこそ、地球という星の扱いは異例の措置と言えた。

現在でも星海連合の中央政府からの支援を受けて宇宙港を開設、太陽系内部の開発を進めているような状態なのだ。

だからこそ、拡大政策を進めるメダイオ帝国に狙われたのである。

宇宙規模のロクな防衛戦力もない星だ。星海連合が介入する前に侵略、支配を進めてしまおうという帝国の目論見は、わずか一騎の敵の前に、水泡に帰した。

フォルセナの獣王レオンハルトが、祖国フォルセナの王機エグザガリュードを授けた一人の少年の前に、だ。


「まさか……獣王は、その正体を知っていたというのか?」

ダルトン将軍は不意に思い出していた。

かつて、神代の時代、何億年も前にいた宇宙の先住種族、神族ゴーズが銀河辺境の地で鬼神を討ち果たして惑星ごと封印したという伝承があることを。

その鬼神は当時の全宇宙を敵に回し、戦いによって星海各地に傷跡を残したのだという。その史跡から、神話と呼ばれながらそれが事実であることは証明されていた。

しかし、資料に乏しく、その封じられた惑星がどこであるかは、今もまだ解明されていないという。

そして、地球という辺境の惑星は、ほんの二十年ほど前まで忘れられ、知られざる地にあった星であったということを将軍は考えずにはいられない。

もし、その封じられたという星で、鬼神の末裔が密かに生き延びていたとしたら?

その星の人間と交わり、子孫を残していたとしたら?

彼らの知る地球人は、ただのノルド種族だ。

だが、その中で地球人のふりをしている怪物が潜んでいるとしたら……。

星海連合内で地球という惑星との平和的な接触を望んだのはフォルセナの獣王レオンハルトを始めとする名士たちだった。

あるいは彼らは、その正体に気づいていたのではないのか?

だから、獣王はただの地球人の青年の後見人を買って出たのではないか。

彼が正体を知る、古代戦士の末裔の力を手に入れるために。


そう考えると、もう一つの予想にも突き当たる。

今まで地球がどの国家にも支配されていなかったという事実だ。

それが、誰にも知られていなかったというだけではなく、地球を支配しようとした国が全て返り討ちにあっていたのだとしたら?

そう、今の自分たちがまさにそうであるように。


「こ、この星は!」

思わず後ずさる将軍の乗り込んだ闘将機ギルバグの索敵機能が敵を捉えるのと、旗艦の中心部に光の軌跡が撃ち込まれたのは同時だった。

投げつけられた剣により、艦最深部の艦橋を一撃で破壊され、全長17リッド(1リッドは0.98キロ)の艦体が連鎖的に爆発を始める。

思わずその場に立ち尽くしたダルトン将軍の闘将機ギルバグの目の前に、閃光と衝撃とともに一機の戦装機がその姿を現した。超光速で甲板に激突した両脚の衝撃で艦体が大きく軋む。

爆発の中から36リット(1リットは0.98メートル)ほどの黄銅色の巨体が姿を現す。巨体と言っても戦装機としては一般的な大きさより一回り大きい程度で、50リットを超えるギルバグに比べれば大人と子供ほどの差がある。

それにもかかわらずギルバグは後ずさった。装主席コクピットの将軍の恐れを機体が感じ取ったのだ。

獅子王機エグザガリュード。

碧海の大国、フォルセナ獣王国の王機グライアス・ドライオンに次ぐ第二の王機であり、獣王レオンハルトが地球人の青年に下賜したという獣装機。

全身を覆う黄銅色の外装と鉄仮面のシンプルな頭部の後ろから強大な獅子の鬣をたなびかせた機体だった。

身を引いたギルバグの姿に関心を示さず、敵装機は艦体に打ち込んだ剣を念動力で内部から引き揚げ、その手に戻す。反った刀身を持つ刀状の長剣を一振りして、改めてギルバグへと視線を向けた。

「かかれ!」

副官の叫びとともに、将軍の周囲を固めていた親衛隊機が一斉に敵に挑みかかった。

総勢24騎。メダイオの正式装機アマルダを駆る光速騎士の精鋭たちだ。

それらが一斉に光の速さに到達し、敵へ襲い掛かる。

だが、敵機の左腕が、その肩から先が見えないほどの速さで放たれ、光の網を生み出した。そう錯覚するほどの速さで、拳が繰り出されたのだ。

「こ、これが超光速拳!」

その正体は5000発を超える光速を超えた超光速の拳打。

放たれた光を超える光の軌跡に撃ち抜かれ、親衛隊は一瞬にして全身を削り取られて四散する。

「馬鹿な、たった一騎に……」

呻いた副官の装機が目にも止まらぬ速さで頭頂から股間まで両断された。突きつけられた敵の右手の剣。そこから放たれた剣閃が見えたものは誰もいなかった。

いや、最後に残されたダルトン将軍だけがわずかに反応していた。

ただ、部下を守ろうとするにはあまりに遅過ぎたのだ。

「馬鹿な……早すぎる」

茫然と呟く。

ダルトン将軍も超光速騎士だ。

だが、彼をもってしても敵の動きの速さに反応できなかった。

光速という物理次元の頂点を超え、次の次元に上がった超光速域の戦士同士。

だが、同じ次元にいてもなお、両者の間には大きな開きがあった。

同格ではあっても、同等ではないのだ。

敵は将軍には興味がないように、剣を振り直し、その一撃でメスリアの甲板が裂け、船底まで引き裂かれた。

もはや旗艦であるメスリアは残骸と化し、彼の率いていた艦隊もまた同様に粉々になっていた。

だが、将軍はそこで踏みとどまった。今更、どこへ逃げようというのか。艦隊はすでに壊滅し、脱出する手段などない。本国へ戻ったところで騎士団全滅の責任を取らされるだけだ。

将軍は奮い立ち、眼前でゆらりと立ち上がった装機と対峙する。

獅子王機エグザガリュード。第64階梯。碧海の大国フォルセナが創り上げた「生まれながらの王機」。

52階梯の闘将機ギルバグとは天と地ほどの格の差がある傑作だ。

しかも、ギルバグに納められた情報資料と眼前の機体では大きく形状も違う。

先ほどの戦術予報士の報告では66階位となっていた。

機体自体が、初期情報より進化しているのだ。

フォルセナの当代獣王レオンハルトの息子、リオンデファンス公子に与えられた機体が、今や地球という新海の辺境の小国の少年の乗騎となっている。

そのあり得ない事実が、今や将軍の目の前に立っている。

震える身を叱咤し、将軍は残されたただ一人の騎士として名乗りを上げる。

「私はメダイオ第七騎士団団長、ダルトン・エッケルト少将」

護法輪ごほうりん十二神将が一人、降神羅凰ごうしんらおう愛居真咲まないまさき

星海公用語に変換されても将軍にはわからない言葉を並べて、獅子王機が剣を構える。

だが、その中で将軍の最悪の予想が的中していた。

「……やはり鬼神きじんの末裔か」

降神羅凰。公用語でそう変換された名乗りこそが、彼が鬼神の血を引く証明だ。

愛居真咲。先日のリオン公子の事件で名を馳せた新たな剣雄。

わずか18歳(地球人年齢基準)の少年でありながら、かのクノークの紅騎士の一人、クラトス・クラリオスが好敵手と称したほどの男。

獣王レオンハルト自らフォルセナ最高位の戦士の証明にして軍権代理者「黒獅子」の称号を与えたという戦士。

それがダルトン将軍の目の前に立っている。機体越しにもその若者の威容が見えているようにわかる。

わかるほどの力がそこにあった。

王機を駆り、支配し、自らの身体とする。装機が装機たるゆえん、装主がまとう鎧として、獅子王機エグザガリュードは愛居真咲を体現する。

「しかし、私はこれまで貴様のような若造を何十と討ち果たして今の地位を得た!負けるわけにはいかんのだ!」

「——なら、今度はあんたに俺の踏み台になってもらう」

叫ぶダルトン将軍に、眼前の装機から淡々とした答えが返る。その冷徹な少年の目が、将軍を射すくめている。

立ちはだかる獅子王機に気圧され、将軍の駆る戦将機ギルバグが震えた。将軍自身の恐れ、そして機体が格の違いに震えているのだ。

「ウオオオオッ!」

ダルトン将軍が吠えた。宇宙を震わせる気合の声とともに、闘将機ギルバグが甲板を踏み込み、宇宙に地響きを起こしながら突進し、手にした大剣を横なぎに振るう。

その速さは光を超え、エグザガリュードと同じ超光速に至る。

その大剣を、わずかに後ろに下がったエグザガリュードの無造作に大上段から振り下ろされた獅子王の剣が、しかし精緻の技をもって真正面から大剣を切り裂く。剣身から柄、それをつかむ両手の指がまとめて切り飛ばされた。

機体と同調したダルトンの指に痛みが走り、うめき声を上げながら将軍は強引に前に踏み込む。

即座に自己修復機能によりギルバグの失われた指が分子から復元し、即座にその五指を取り戻す。

剣を振り下ろしたままの姿勢のエグザガリュードに両手でつかみかかろうとして、そのまま、剣から離したエグザガリュードの左手にその両手をつかみ取られた。

「ぬ、おおおお……」

グチャリ、と復元を終えたばかりのギルバグの両手が、相手の左手の握力だけで握りつぶされる。超合金の塊である手が、まるでゼリーのように容易く崩れた。

「——この程度か」

嘲るような、見下したような小さな呟きが将軍に叩きつけられる。

敵は、ダルトン将軍の強さに失望していた。

将軍はうめき声とともにギルバグを下がらせ、背中の武装庫コンテナより大量の噴進弾ミサイルを放つ。

腕を失った以上、これ以上の攻め手はなかった。せめてもの足止め、飽和攻撃で隙を作るための悪あがき。

だが打ち出された噴進弾ミサイルの雨は、突如現れた光の網にすべてが撃ち落された。

それは網ではなかった。エグザガリュードの左腕が肩から先が見えないほどの超高速で無数の拳打を放ち、拳から打ち出された気弾が光の軌跡をもって噴進弾を撃ち落していたのだ。

先に親衛隊を一瞬で全滅させたものと同じ、超光速拳。

修羅しゅら——閃迅拳せんじんけん

無表情な声が超光速拳とともに放たれ、さらにギルバグを追撃する。重く、速く、間断のない打撃がギルバグの全身を叩き、その装甲を砕き、両腕を引き千切る。

逃げる隙もなく、瞬く間にギルバグが削られていく。

その巨体が引き裂かれた甲板の上を転がって吹き飛ばされた。

それを追って。左腕一本で自身より巨大な敵を半壊させた獅子王機が右の長剣を構えて前に飛び出した。

撃ち落した噴進弾ミサイルの爆炎を隠れ蓑に突撃する獅子王機を前に、ダルトン将軍は最後の切り札を放つ。

闘将機ギルバグの最大最後の武器、全身を破壊されながらも胴部に残したエーテル砲が展開し、将軍の残る闘気プラーナすべてを込められて放たれる。将軍の放つ闘気を増幅し放たれた光の渦が獅子王機を飲み込んだ。

獅子王ししおう——走破斬そうはざん

だが、その渦を正面から獅子王の剣が両断する。より巨大、高密度の闘気が込められた長剣がエーテルの渦を切り裂き、ギルバグをも一刀両断。

先ほどと同じ上段からの一振りが、策も力も正面から切り伏せた。振り下ろされたのは鍛え上げられた純粋な鍛錬の結晶。そしてそこに込められた暴虐なまでの力を前に、ダルトン将軍の50年を超える歳月が一瞬で霧散する。

機体ごと切り裂かれた将軍の肉体が、崩壊する機体のエーテルの波にのまれて消えていく。

「これが、蒼星のエグザガリュード。これが、愛居真咲!」

それが、将軍の最後の言葉となった。

誰もいなくなった宇宙の墓場に、ただ勝利した星獣の咆哮だけが響き渡った。

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