第19話 貰った装備
相賀はバートンに連れられて、とある建物まで行く。
そこは、店外からでも数々の商品があることがうかがえる商店だった。
「さぁ、入った入った」
バートンに背中を押され、相賀は店に入っていく。
「お帰りなさいませ、会長」
「うむ。早速で悪いんだが、こいつに似合う冒険者装備を整えてくれ。魔石込みの道具をな」
「分かりました」
「さぁ、奥のほうへ入ってくれ」
言われるがままに、相賀は店の奥に入れられる。
そこでしばらく待っていると、そこに数々の装備品を持った店員がやってくる。
「お前さんは腕力や脚力が強い。そうなると、直接殴れるグローブや剣のようなものが望ましいな。主武器はグローブにして、副武器やもしもの備えに剣を使うのがいいだろう。服装は身軽な方がいいから、鎧よりかはそのままの方がいい。ただし最低限の装備は整えたほうが良いだろう」
そんな感じで次々と装備を渡される。
「こんなところか。さ、早速着替えてみてくれ」
「えっと……」
「あぁ、初めて着るものだから、よく分からないか。おい、誰か着替えるのを手伝ってやってくれ」
バートンの勢いは止まらず、結果として相賀は店員に装備をつけてもらうのを手伝ってもらうのだった。
10分後。
相賀はバートンに勧められた装備を身に着けた。
基本は制服であるが、中に簡単な装備を身に着けてある。
主武器として直接殴れるグローブを、副武器に汎用の短剣を装備した。
それと同時に、相賀は装備の説明をされる。
相賀の装備は基本的に魔法が使えない人向けの装備だ。
そのため、魔力の塊である魔石を装着して使用するタイプの装備を着せてもらった。
魔石を装着できるのは、グローブと剣だけであるが。
見た目は変わらず、装備の分だけ増えたようか感じである。
「これで良し。どうだ、付け心地とかは?」
「問題ないです」
「なら良かった。あとは、これで冒険者として活躍していくだけだな」
「でもお金は……」
「さっきも言っただろうが、ツケにしといてやるよ。それにほら、これもやるよ」
そういって、バートンは袋を渡してくる。
渡されたとき、ずっしりと重い感覚を味わう。
「これは?」
「俺からの資本金だ。これから冒険を始める人間には金がいる。そのための金だよ」
「そんな、こんなものまで貰っちゃって……」
「構わんよ。最終的に返してくれれば、俺としては問題ない」
相賀は中を見てみる。大小様々な硬貨が中に入っていた。
「……これ、お金の計算とかってどうすればいいんですか?」
「そうか、それも教えとかなきゃいけないのか」
そういって、バートンは相賀にお金のことを教えた。
この世界、特に相賀のいる国では、金、銀、銅、青銅の4種類が流通している。
もちろん一番価値の高い硬貨は金で、逆は青銅である。
青銅10枚で銅1枚、銅100枚で銀1枚、銀100枚で金1枚の計算のようだ。
また、銅や銀には10枚分、50枚分の価値を持つ硬貨も存在しているようで、これで様々なやり取りをしているという。
「金に関してはこんな所か。計算とかはできるんだろ?」
「はい、多分ですけど」
「ならよし。さぁ、後はこの世界を冒険するだけだ」
そういって、バートンは相賀のことを送り出した。
「この後どうしよう……」
相賀は何かしようとも考えたが、特にすることも思い浮かばなかった。
とりあえずまずは冒険者ギルドに向かうことにする。
バートン商会から冒険者ギルドまでは、歩いて数分というところにあった。
早速ギルドに入ってみる。
そこには様々な人間が行き来していた。
中には巨大な剣を装備している者もいる。
相賀は、ギルドに登録した際に貰った冊子を取り出し、利用方法を確認する。
まずは、依頼ボードから依頼したいものを取り、それを受付に渡す。依頼を受けたら、依頼内容に沿って依頼をこなし、その結果をまた受付に提出する。そして受理され、依頼は達成となる。
また、別にパーティを組んで依頼をこなすことも可能だ。同じギルドに所属する冒険者同士でパーティを組むことができるという。
「とりあえず、一人で行くか」
相賀は、依頼ボードの元に行き、何か依頼がないか探してみる。
いろいろ探していると、ちょうどいいところに害獣討伐の依頼があった。
パーティ推奨ではあるものの、ランク設定は低いようだ。
相賀は手を伸ばしてそれを取ろうとした。
その時、一瞬早くそれを取った人間がいる。
「あ……」
相賀がそちらの方を見ると、そこには自分よりも比較的装備の整っているパーティのようだった。
「あれ、君もこれを受けるの?」
「あ、そのつもりだったんだけど……」
「ごめんね、先に取っちゃった。けどこれ、パーティ推奨みたいだけど」
「実は、まだ冒険者になったばかりで、初めての依頼だったんだ」
「そうなの?それじゃあこれを受けるのは危険だと思うよ」
「そうなんだ……」
「そうだ。もし良かったら俺たちのパーティに入らないか?」
「いいの?」
「もちろん。いいよな、みんな」
そういって、彼は振り返る。
そこには、彼のパーティメンバーと思われる二人の男女がいた。
「あぁ、問題はねぇな」
「こういう時はお互いさまだよ」
二人は了承する。
「それじゃあ、早速手続きをしてこよう。俺はローラン、今日からよろしくな」
「俺はガイバー、よろしくな」
「私はキャロル。よろしくね」
「僕は雅哉。よろしく」
こうして相賀はローランたちとパーティを組むことになった。
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