夜₋足跡

満たされない欲の中に居る、波の音が聞こえる。

 けどそこはどこまでも続く、闇の中で。


海と空と地面の境界線があやふやで肌寒く自分の立っている場所さえわからないのだ。


 夜目の利かない目を凝らして、手探りで進む道は、いつの間にか傷だらけの体と。

手にしたはずのものはいつも流れ出す砂のように僕を置いて行ってしまう。



 僕はいつしか疲れ果てへたり込み夜空の星を見上げるようになった

あの幾万光年先にある輝きはけして僕の手には入らないのに……思いをはせずにはいられないのだ。


 「失ったものは何なのか?傷ついた理由は何なのか?心に空いた穴は何なのか?」


それが知りたくていつの間にかたちあがり又歩き出すのだ。


 よろめきながらもしっかりと足跡を残しながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る