逃避製作

嫌なことがたくさんあった…………。


泥水の上を歩くような感覚とそれに伴う冷たさと、穴の空いた心。


暗闇の病室と、いつも泣いていた夜に、僕は閉じ込められたその空間で、いつも窓の外を見ながら…………。


僕はペンを握っていた。


理由なんかはどうでも良かったが、僕はただ逃げたいだけだったのだ……。


小指を切り落とされたあの子と、いつまでも幸せになれないあの人と、皆過去に縛られて動けない僕らは……それでも居場所を探していた。



だからなのか?僕は今も書き続けている。

誰にも読んで貰えない詩を、駄文と虚言のインクに汚れながら……それでもいいと笑って言える。


あの人たちの不幸が都合のいいハッピーエンドになるようなそんな嘘をつき続けたい。


僕の心にある足りないパーツ、それは僕の影になり僕をいつも追ってくる。

それから逃げるように……僕は作品を書き続ける。


逃避製作。


自分のための作品製作、怖くて寒い毎日で僕は暖かい道を作りたい。まだまだ先は長いな…………。


とりあえず、今日も僕はペンを握る。

書けるだけの作品をかく。逃げるために……戦うために…………。

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