第二話 返礼

君の小さな祭壇に

手を合わせに行ったのは

ついこの間


まだ一ヶ月も経っていない


もう返礼の品が届いた

カタログギフト

包んだ額のいくらも取らず

高額な品が並んでいた


おそらく

君のご両親が選んでくれたのだろう


君の形見をもらおうと思った


自分の家族のために

楽しめるチケットも

美味しくいただける食品も

自分を飾る装飾品も

どれも本意ではない


一際華やかな頁に囲まれて

それは小さめに写っていた

  これを君だと思って

   大切にしたい

そう家族に告げようとしたら

逆に勧められたよ

君の形見の品となるものを

選んで と


交換猶予は一年もある

それが自分にとって君と代わる品物か

もう少し悩んでから

手続きをしよう


何をしても

心の奥の哀しみは癒えない


当たり前の質問を

何度も何度も繰り返す


動物にとって心拍数はほぼ同じ

遅いか早いかで

生きる長さが違うのだと


では、何が心臓を動かしているのか?

何が命を奪うのか?


君の場合は

一種の病気だった

誰も気付かなかった

君自身でさえ知らなかった


突然のことだったらしい

君は入院して

たった十一日で逝ってしまった


その可愛らしい声も

その華奢な姿を見ることも

もう叶わなくなってしまった


他愛ない会話も

深い悩みを話し合うことも

もうできなくなってしまった



せめて、君を思う時間だけは

世間と隔絶された世界にいたい



お願いだから

もう一度 君の笑顔を見せて下さい


返礼品なんていらない

そのお金で君と食事したり

呑みに行ったり

歌って遊べば良かったよ


もう見られないのか…


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