第2話
私は、メイドにお願いをした。このメイドなら何とかしてくれる。付き合いは短いけれど、彼女に不思議な力があることを私は知っていた。
「地球に行きたい」
「ダメです」
「どうしても行きたいのっ!!」
「はぁ……。そんなに我が儘言うと、ぶん殴りますよ? お嬢様」
「ぶん殴るの? パーで?」
「いえ、石のように固めたグーパンで」
「……………ぅ」
諦めきれない私は、裸足で外に出ると一度チラッと地球を見てーー。痛む胸に手をあてて、地球に行く準備を始めた。
「殴るなら、早くしてちょうだい」
「相変わらず、頑固ですね。…………分かりました。お嬢様に私の力を預けます。この力があれば、地球にだって行けるはずです。ただ、どんな副作用が起こるか分かりませんよ。それでも良いですか?」
「うん。ありがとう」
「では………」
「っ!」
口と口が重なる。甘い時間は、ほんの数秒。
次に目を開けると、メイドの姿はなく、私の前から消えていた。
殻が破れ、別の生き物に生まれ変わった気分。
一度、深呼吸。
そしてーーーーーー
「アァぁあぁーーーーーーーー!!!」
目の前を流れる無数の星が、時が止まったように動きを止めた。主である私にひれ伏す。彼らは、待っている。私の指示を。
私は、その星に飛び乗ると、スキップしながら地球を目指した。
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