6
『翔太郎……。翔太郎‼ 朝よ、起きなさい‼』
朝からうるさい声が聞こえてくる。
少しずつ視界が開けてくると目の前に誰かの顔がぼやけて見えてきた。
「う、うわぁあああああああああああ‼ ゆ、ゆきお……」
「誰が雪女よ‼ いい加減にしないと怒るわよ!」
雪乃が朝っぱらから翔太郎を怒る。
「……て、あれ? なんで、姉ちゃんがここに? 確か、俺は雪山の温泉に……」
「そうか、そんな素晴らしい夢を見ていたんだ。それで姉ちゃんとお風呂に入っていたのね。スケベな弟だこと」
そう言われると、翔太郎はさっさと起き上がって、
「さて、朝飯、朝飯っと……」
「って、無視しないでよ!」
頬を赤らめながら恥じらいをし、叫んだ。
三箇日の一月二日の朝の事である。
元旦は朝から晩までずっと部屋の中で寝てるかテレビを見ているかで過ごしていた翔太郎は活動を再開するのに物凄い時間がかかっていた。
「おはよう……」
翔太郎は目を擦りながらリビングに行くと、陽介の姿はなく、里菜が巻きずしを食べながらうとうとと眠そうにしていた。
どうやら、昨日は夜更かしをしていたらしい。
「寝みぃ……。姉ちゃん、俺、やはり朝飯は後でいいや」
と、また二階へあがろうとしていた。
「ちょ、翔太郎! ま、待ちなさいって! 正月早々、ふざけてるんじゃないわよ!」
翔太郎の後を雪菜は追いかけて行った。
里菜は、そんな二人の姿を見て、
「やはり、今年もうるさくなるんだろうね……」
二階からは物音が酷く響き渡った。
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