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十二月二十九日、
「さて、今年も残りわずか、この冬休みを使って仕事するわよ!」
雪乃は張り切っていた。
「おー」
「おー」
そして、目の前にいる翔太郎と里菜はダルそうな声で返事を返す。
陽介は仕事で今日は家にいない。学生三人組は冬休みに入っていた。
「二人とももう少しやる気を出しなさい!それじゃあ、終わる掃除も終わらないわよ」
「だって、やるって言ってもこの家ってそこまで汚れているか?」
「翔兄、雪姉には逆らわない方がいいよ。私、自分の部屋を掃除するね」
里菜は溜息を洩らしながら言った。
「それで、俺は?」
「翔太郎は自分の部屋の掃除でもしなさいよ」
「それって、いつも俺がやっている事じゃないか」
翔太郎はやれやれと思いながら小さく首を横に振る。
「あんたはいつも適当にやってるだけで部屋が散らかっていく一方よ!」
雪乃が翔太郎を怒る。
「そうか? 俺は俺なりに部屋がきれいになっていると思うんだが……」
「あれを見て、綺麗な部屋って言うことができるのはあんただけよ」
翔太郎の部屋はプリントの山や漫画、ゲーム機などで埋まっている。
そして、掃除が始まってから二時間後————
それぞれの部屋の掃除が終わった二人はリビングの掃除をしていた。翔太郎は右耳にイヤホンをつけながらスマホから流れる音楽を聴きながらソファーに座っていた。
里菜は低い背を一生懸命延ばしながらめどを吹いていた。
「翔兄、窓ふき手伝ってよ」
「なら、スプレーを貸してくれ」
翔太郎は立ち上がると、里菜から受け取った窓ガラスクリーナーを使って全方位に泡を撒いた。
「おい……」
「何? 何か悪かったか?」
「悪いよ! そんなに無駄使いしたら……雪姉に見つかっても知らないからね! それ、高かったらしいから……」
「マジかよ……。あ、それならあれで代用するしかないな」
翔太郎はクリーナーを持ったまま洗面所に向かった。
「あった、あった……」
手を洗う用の液体せっけんを空けて、空になりかけているクリーナーの蓋を開けて、付け加えた。
しかし、その時だった。背後から物凄い恐ろしい気配を感じた。
「翔太郎? あんた、何やっているの?」
と、優しく声をかけているが尖っている。そっと後ろを振り返ると、仁王立ちをしながら腕を組んでいる雪乃の姿がそこにあった。
「え、あ……。付け加えを少し……」
「そんなことして、もし、薬品が毒ガスになったらどうするのよ! あんた、高校生でしょうが! 少しは高校生らしい行動をしなさい!」
翔太郎の頭に鉄拳を下す。
「あーあ、やっぱりそうなったか……」
里菜が来た頃には、正座させられた翔太郎の姿があった。
「大体ねぇ。あんたがこんな事をするから……」
翔太郎が雪乃から解放されたのはそれから一時間後だった。
結局は大掃除も一日でやる予定が、二日に分けての掃除になった————
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