何かがいました

 作:北見悠平


 誰とも話ができなかったので

 僕の中にはずっと何かがいました

 最初はたぶん二人きりで

 今は二十人くらいだと思います

 もっとかも


 こいつらがあまりに騒々しかったので

 黙らせてやろうと思うこともあったけど

 僕が僕であるために

 必要な部分も少なからずありそうです


 頭が善いとか悪いとか

 難しいことは好くわかりませんが

 中身の話をされるなら

 受付の方からお越しください

 その節はご迷惑をおかけしました


 たくさん動くから気をつけてねって

 揺れる箱からそっと彼らを見ました

 最初はたぶん一人ぼっちで

 今はどれくらいあるのかもわからない

 死にたくない


 電撃が極めて痛々しかったので

 逃げ出してやろうと恨むことがあったかな

 君が君でいるために

 執拗な区分もある程度は容れそうです


 誰かの問いとか病とか

 麗しい言葉、疾く量れませんが

 わたしの博士になれるなら

 便箋の方へと投げてください

 本当に今もまだ何かがいるなら

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