集団自殺

 作:北見悠平


 人間が多くなりすぎたので

 減らさなくてはいけないと聞いた

 どこへも行けない私たちには

 それより他に仕方がないんだってさ


 君なんかに恨みはない筈だけど

 決まりごとには従わないわけもない

 一人は皆のために

 首を括れば定めは詩


 明後日にお勤めが終るので

 逃がさなくてはならぬと仰る

 余所にも出せない貴方たちには

 よりよい島の切符は高いんだそう


 僕なんかに血はつかない筈だけど

 売ったからには返り値がつくものだね

 皆は一人のために

 相は定めて靴を脱ぐ

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