第6話 あなたに会えて良かった
「忍君、今日の放課後時間ある?」
「ああ大丈夫だよ葵さん」
「お、なんだデートか?」
「うるせえ」
高校生活が始まってそれなりの時間が流れ僕らは二年生になった
なんて事のないいつもの朗らかな昼休み
運命が動き出した
授業が終わり恵、俺、葵の3人で目的地まで歩く
「なあ、どこ行くんだ?」
「公園に向かってるわ」
「ほー珍しい」
「間違っても小さい女の子には手を出さないでね」
「俺そんなことしないよ!?」
「あれでもこの前本棚の中から」
「恵さんシャラップ!」
「忍君最低ね…」
汚物を見るような目でこちらを見てくる
「ちょっと待って!誤解だ、誤解!」
二年生になり、葵、火乃香とも休日遊ぶくらいの仲になった
公園に着きベンチに腰をかける
少し寂れた、懐かしい遊具たちが陽に照らされ、その周りにいる子供達は今日も楽しく遊んでいる
そんな光景をただ眺めていたが
「ねえ、忍君聞いてちょうだい」
葵のいつになく真剣な声と雰囲気によって
意識を葵に向かわせる
「どうした?」
「今から言う事は冗談でも、嘘でもない
ほんとのことよ、質問があるでしょうけど
しばらく黙って聞いててちょうだい
ここからは恵さんに任せても良いのよね?」
「はい」
ベンチを立ち僕の前で立ち止まる
「まず最初に、あなたと火乃香さんはこの先
結婚します」
「は?」
一度何も言わないと思いはしたもののいとも簡単に打ち砕かれた
「そして火乃香さんは、30代半ばで病気で死んでしまいます」
「何言ってんだよ」
身に覚えのない未来の情報が勝手に耳に流れて来る
「死ぬ前火乃香さんは私達に頼みました」
「こんな早くに死んでしまうので彼を悲しませてしまうのならば、葵さん、恵さん
高校時代に戻ってあなたたちどちらかが忍君と付き合って結ばれて欲しいと」
「でも、忍君最後の判断はあなたに任せたい」
話が終わり長い沈黙が続く
頭が何を言っているかが理解を拒む
「僕は....」
未だにどうして良いかわからないが
とりあえずこの言葉を借りた
「僕はこの高校生活でちゃんと好きになった人を選ぶよ、たとえ火乃香と結ばれたとしても、昔来たあのメールは多分僕が送ったものでこのままでいいって書かれてた」
「そっか」
「だから、これを伝えてくれてありがとう」
運命の女神様! うすしおポテト @usushiotarako1006
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